電 子 版

　終章　不変・蛍鳴く時「その後は……」「徳川方の追っ手はなく、そのおかげでここまでたどり着いた次第」　相手の片倉重綱は無事だったか、とは聞けなかった。だが続く話を聞く限り、伊達軍は真田の退却を見ても深追いすることなく半ば放置したようだった。　宗是はほっと安堵（あんど）の息を吐いた。　己は

　続けてきた仕事が白紙に戻りそう。冷静に次の道を模索しましょう。信頼できる相手に相談することで有意義な情報を得られます。周りをきれいにして気分転換しましょう。幸運数は5と29　やむを得ず引き受けている案件を減らす好機。自身が使える時間を取り戻せます。仕事では変化がありそう。最初は戸惑っても軌道に乗

　終章　不変・蛍鳴く時　城内の不安を裏付けるように、日盛り時を過ぎると、討ち死にの報告は数を増やしていった。「薄田兼相殿、討ち死に」「木村重成殿、討ち死に」　豊臣方は総崩れではないのか。そんな心配すら湧き起こる。城兵たちの思いはほぼ同じだ。頼みの綱の真田信繁の討ち死にの報告だけは聞きたくな

　ストライプとボーダー柄を重ねたコーディネート　機能的なスポーツアイテムを取り入れた、カジュアルなスタイルが増えています。　春の羽織ものとして重宝するのが、ウインドブレーカーやパーカー、フード付きのアノラックといったアウター類。ナイロンなどの軽い素材と、カラーブロッキングなどの大胆なデザイン性が魅力

　終章　不変・蛍鳴く時　宗是が秀吉と蛍の逸話を話し終えると、今度はしんみりした空気が漂った。　即座に歌を作ってとりなす幽斎の才気に思いを馳せ、すでに亡くなった両人を偲（しの）んでいる様子が全員に見て取れた。　宗是は改めて、飛び交う蛍に目をやる。水のない草原に蛍が群れるのが、ただの自然のいたず

　終章　不変・蛍鳴く時　宗是は約束通りに、西の丸に向かった。　と、すでに人だかりができている。二十人を超える男たちが総立ちしていた。　何事かが起きているのは確かなようだ。宗是は用心しながら近づいた。　人ごみをかき分けるように、前へと進んだ。すると、宗是の目にぼんやりとした灯火のようなものが

　終章　不変・蛍鳴く時　火が見えた……。「どこに」　宗是が問うと、阿梅はかつて西の丸と呼ばれた方角を指差した。　二人を安心させようと、宗是は強く断言した。「かがり火であろう。今夜は皆、休んでいる」「かがり火は動きませぬ。無数の火が動いておりました」　聞けば、本丸の櫓あとの高台から、点

　終章　不変・蛍鳴く時　　　　　　　　　　　四　京に集まった徳川軍が進軍を始めている――。大坂城内はその噂で緊迫していた。　大和国（やまとのくに）に入った大軍は、河内国（かわちのくに）を目指しているらしい。これを迎え討とうと、明朝に後藤基次（もとつぐ）軍の出陣が決まった。後藤軍は道明寺近辺で

　第六章　変革・関ヶ原　鉄砲隊に囲まれたことで、勅使の烏丸光広もさすがに気色ばんだ。「城攻めの者たちは礼を知らぬと見える」　駆けつけて事態を知った攻城方の将、小野木は謝罪し、鉄砲隊を平伏させた。　やんごとない方々に代わり、宗是が小野木と交渉した。「幽斎殿が命を落とせば、古今集秘伝の伝統が

　第六章　変革・関ヶ原　鉄砲隊に囲まれたことで、勅使の烏丸光広もさすがに気色ばんだ。「城攻めの者たちは礼を知らぬと見える」　駆けつけて事態を知った攻城方の将、小野木は謝罪し、鉄砲隊を平伏させた。　やんごとない方々に代わり、宗是が小野木と交渉した。「幽斎殿が命を落とせば、古今集秘伝の伝統が

　終章　不変・蛍鳴く時　真田信繁は生き残る道などみじんも考えていない。己の命を捨てる代わりに徳川父子を倒せれば本望なのだ。　黙り込む宗是とは反対に、信繁は目を輝かせ身振りを交えながら自分の策を披歴（ひれき）した。「今、茶臼山の西側に新たな馬出しを造らせております。ここからは茶臼山が邪魔になっ

　★コンビーフ　川商フーズ（本社東京）は「コンビーフの日（4月6日）」150周年を記念して「ノザキのコンビーフ（80㌘入り）」＝写真＝の6個セットを本紙読者5人にプレゼントする。　同商品は製造日から3年6カ月間の常温保存が可能で、調理なしでもそのまま食べられるため、いざという時の備蓄食品に適して

　辛抱した後に幸福が訪れます。努力を続けることが進展のカギ。課題に正面から向き合うことで成果が生まれます。仲間の趣味に関心を抱いたら自身でも始めましょう。幸運数は8と11　雑務が重なり慌ただしく過ごす週です。きちんと対処することで自信が生まれます。収入面で良い展開がありそう。交渉事では具体的な数字

　終章　不変・蛍鳴く時　真田信繁にため息を聞かれた宗是は、ばつの悪い思いがして、別の話を憂えたふうを装った。「大野治房が堺を焼き払ったと聞きました。堺を敵に回しても何も得るものはないと思うが」　堺は、大坂の秀頼軍がたびたび食料や金品を要求した都市だ。堺の人々はその要求に従ったため、再戦を前に

　終章　不変・蛍鳴く時　　　　　　　　　　三　四月下旬になると、徳川軍の大坂侵攻は避けられない状勢になった。今日にも攻め手が押し寄せるかもしれない。敵情の監視のため、宗是は大坂城天守の最上階にまで登ってみた。　本殿の周囲には見渡す限りの野原が続いている。かつての要塞の面影はない。　徳川軍は