(4) シレトコ 自然公園に壮大な物語 鯨の尾は萩野の山に
- 2019年11月4日
白老には、知床という地名が2カ所あります。知床と言えば、世界自然遺産に指定された道東の知床半島が有名ですが、この”シレトコ”という地名は、アイヌ語地名としては珍しい名前ではありません。ただし、現在も地名として使われている場所は少なく、道東の知床半島や釧路市の知人町など、数カ
白老には、知床という地名が2カ所あります。知床と言えば、世界自然遺産に指定された道東の知床半島が有名ですが、この”シレトコ”という地名は、アイヌ語地名としては珍しい名前ではありません。ただし、現在も地名として使われている場所は少なく、道東の知床半島や釧路市の知人町など、数カ
「二十歳で就農して40年近くたった今、こういう特別職に就くとは思ってもいなかった。天命というか、宿命というか。人生何が起きるか分からないな」―。 2016年10月にむかわ町教育委員会の教育長に就任して3年の月日が流れた。「人を育て、実を結ぶには時間がかかる。何十年先に結果が見える仕事なのだ
ウトナイ湖の水面がカモ類やハクチョウ類でにぎわう中、自然観察路は「落とし物」の観察に良い季節を迎えています。水鳥の羽や木の実などいろいろありますが、今の時期だけ楽しめるのが落ち葉です。紅葉した葉は地面に落ちてもまだ色が残っていますし、湖周辺にはいろいろな種類の植物があるため、さまざまな色や形を楽し
本展への参加に当たり、坂東史樹が苫小牧港を題材に選んだ背景には、人工の掘り込み港湾という特色ある地形や周辺の構造物、海洋の存在があった。 自身が睡眠時に見る夢を反映させた創作活動をする坂東は、夢や心の中に潜在する無意識の重要性を提示したスイスの精神科医・心理学者ユングの論考を参考にしており
苫小牧市美術博物館で、中庭展示Vol.13「坂東史樹 小さくて深い空」が開かれている。今月8日の強風の影響で一時公開中断を余儀なくされた作品の損壊前と修復後の写真と共に展示内容と主題について、同館学芸員細矢久人さんが2回にわたり紹介する。
苫小牧の社会福祉法人ふれんどが運営する、介護付き有料老人ホーム「菜の花」。地域密着型特別養護老人ホーム「明徳」も入る高齢者総合施設2の3~5階部分に位置し、定員は計89人。 要支援の認定を受けた人から要介護状態の人まで、入所者はさまざま。特に4階には介護スタッフを手厚く配置し、認知症の人も
ユネスコ総会で採択された「文化的多様性に対する世界宣言」の一節、『文化とは、特定の社会または社会集団に特有の、精神的、物質的、知的、感情的特徴を合わせたものであり、また、文化とは、芸術・文学だけではなく、生活様式、共生の方法、価値観、伝統及び信仰も含むものである』。その中にある”共生の
動画構造の解体と再構築をテーマに制作や研究活動を展開する映像作家・大島慶太郎(1977~)=札幌市在住=は、デジタルカメラによる写真撮影で得た画像を素材とする実験的な映像作品を制作している。 本展においては、絵はがきという記録媒体を視覚的な伝達メディアとして捉え、手で触れることができ、時間
今回の内容は、野鳥は野鳥でも、小さな作り物の野鳥についてです。 次男の育児休暇が終わろうとしていた今年の3月、工作が大好きな長女(当時4歳)のために、新しい遊びはないかと探していた頃に出合ったのがアイロンビーズでした。アイロンビーズとは小さなパイプ状のビーズのことで、専用プレートに並べて絵
苫小牧市生まれ、札幌市在住の小島歌織(1982~)は、グラフィックデザイナーとして広告などのデザインを手掛ける傍ら、消費やそれによって生まれたライフスタイルをテーマとする創作活動を展開する。 本展で紹介するポリエチレン製のレジ袋に、小島が考案したデザインをプリントした14点からなるシリーズ
苫小牧市生まれ、札幌市在住の山田啓貴(1978~)は、モノとそこに宿された記憶や印象深い情景を描く画家だ。作品は、卵と油を混ぜた媒剤で顔料を練るテンペラと、油絵の具を併用する混合技法を用いた着彩の繰り返しにより成立する。古典的な技法と相まって、懐古主義的な主題を扱う絵画表現は、見る者の郷愁を促す。
非行に走った少年少女に兄や姉のような存在として寄り添い、一緒に悩んだり学び合ったりする苫小牧の奉仕団体「苫小牧BBS会」で会長を務める笹田正治さん(66)。同会設立から半世紀以上が過ぎ、会員の減少という課題に直面しているが、児童虐待や不登校など子どもを取り巻く問題が複雑化する社会のニーズに応えるた
苫小牧市美術博物館で、企画展「NITTAN ART FILE3 内なる旅~モノに宿された記憶」が開かれている。胆振、日高ゆかりの作家4人が美術と博物の複合施設である同館の特性を生かした現代アートを出品しており、同館学芸員の細矢久人さんが、4回にわたり各作家の魅力や作品を紹介する。 ◇
医療法人社団玄洋会道央佐藤病院グループの事業所、ウェルが運営する苫小牧市錦岡の介護付き有料老人ホーム海の丘は、四季の移り変わりを身近に感じられる、自然豊かな高台の上に位置している。 身の回りの事をすべて自分でできる高齢者から介護を必要とする人まで、幅広いニーズに対応。入浴や着替え、排せつな
1926年12月25日に生まれた星川元昭さん(92)。名前は、その年が昭和元年だったことに由来する。人生の大半を教育現場で過ごしてきた。目を細め、「今でも懐かしいのは子供たちのことばかり。天気の良い日は裏山に出て、一緒に歌を歌い、将来のことを自由に語り合ったものだ」と朗らかな笑顔を見せる。
森の中でパチン、コツッ、パチッ、という音を聞いたことがありますか。ミズナラから落ちたドングリが倒木などに当たる音です。乾いた、跳ねるような音が耳に心地よく、まるで音楽を聴いているように楽しくなりました。ドングリが落ちる音が聞けるほどの豊作は数年ぶりで、これが私が感じた今年初めての「秋」でした。
来春白老町に開館する国立アイヌ民族博物館には100万人が訪れるそうだ。正確には100万人「呼び込みたい」そうだ、と言うべきか。来訪者の関心興味、学びや教養、修学旅行生や社員研修、旅行客がたくさんの国と地域から北海道・胆振圏を訪れる際には、同博物館はきっと旅を有意義なものにする一コースになり得るだろ
白老町虎杖浜の名前は、アイヌ語地名の「クッタルシ=イタドリの多いところ」から付けられました。現在は、「クッタラ」というアイヌ語を日本語に訳し、その意味の「イタドリ」を漢字に直した「虎杖」が使われ、「クッタルシ」は土地の名前としては使われなくなりました。ただし現在も、「クッタリウス川」や「窟太郎山」
オープンしたのは1970年8月。今年、開業50周年を迎えた苫小牧市表町のファッションメールプラザ。東城静江さんは、オープン当初から女性用下着などを扱う「ランジェリーショップ エルム」の店長として仕事を続けている。同プラザで開業当時から働いているのは東城さんただ一人だ。 42年に5人きょうだ
いずれはラムサール条約湿地にと、私たちが保全活動を進める弁天沼周辺。その特徴ある自然や、安平川下流域に計画されている河道内調整地(遊水地)の予定地を見ていただこうと、9月29日に日本野鳥の会苫小牧支部と「勇払原野とことこツアー」を共催しました。こちらは例年、初夏に行なっているイベントですが、今年は
この9月に地域資源を活用した「町内回遊・周遊」の新しい試みとして、白老町内で約10の文化芸術プログラムを15カ所以上の「場」で開催した。格好良く言うと「白老アートツーリズム」または「アートで巡る白老」とでも言えよう。 各プログラムの方向性や規模は多岐にわたるが、いずれも地域資源と芸術家との
突如として出合った生き物を目の前に、優しい気持ちで取ったはずの行動が、時にその命を危険にさらしてしまうことがあります。 10年ほど前の初秋のある日、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターに、市民から電話相談がありました。聞くと、当センター近くの国道沿いの歩道で1羽の鳥が歩いており、車通りも多い場所
全道各地で高齢者福祉施設を展開する札幌市の日総ふれあいケアサービスが手掛ける、ふれあいの里グループホーム柊(ひいらぎ)。定員は2ユニット、18人で地域住民も気軽に立ち寄れる開放的な施設運営を目指している。 近隣住民との交流も頻繁に行っており、今月中旬に施設内で開いた敬老会にも町内会の有志が
「無形の戦力」―。陸上自衛隊第7師団第7音楽隊の第14代隊長・鍋澤勇雄1尉は、陸自で演奏を主任務とする音楽隊をこう称する。戦闘部隊などの「有形の戦力」に対し、演奏などを通した隊員の士気高揚などで、組織力を高める一翼を担ってきた。地域での演奏活動や技術指導などを通して、住民にも親しまれている存在だ。
秋晴れとなった今月17日、白老町のポロトの森。アイヌ文化体験の授業で地元白老東高校の生徒がクチャ作りに挑んだ。クチャはヤナギの幹などで骨組みし、フキの葉で屋根をふいた簡素な仮小屋。森へ狩りに出たアイヌ民族の男たちが野営の際に利用したとされる。指導に当たった長谷川繁美さん(81)は作業を手伝いながら
陸上自衛隊第7師団の数ある部隊の中でも、災害派遣のエキスパートと言えるのが第7後方支援連隊。給食や給水など民生支援の多くは部隊にかかわらず実施できるが、入浴支援の「野外入浴セット」を装備しているのは後方支援連隊のみ。大きなテントやビニール製の浴槽をはじめ、洗い場やシャワー、脱衣所も兼ね備えている。
胆振東部地震で道路の至る所が寸断する中、自衛隊は幅広い内容の物資輸送を展開した。例えば、国が被災地に必要な物資を送る「プッシュ型支援」では、空輸の拠点を航空自衛隊千歳基地が担い、陸自が大型車両で物資集積拠点の苫小牧港・西港に運び、被災した厚真、安平、むかわ町などに届けた。食料や毛布、乾電池など物資
陸上自衛隊が各部隊に装備している、野外給食の専用装備品「野外炊具」。陸自は野外活動が基本とあって、炊飯できる機材は驚くほど充実している。けん引車両に炊飯できる高圧釜を六つ備え、釜一つにつきご飯100食分が炊ける。胆振東部地震で被災した厚真、安平、むかわの3町でも、この野外炊具がフル回転。昨年9月8
白老町の西側、虎杖浜地区のポンアヨロから登別漁港にかけての一帯は、アイヌ語地名でも特殊な地域です。前回の「オソロコッ」でも紹介したように、地名が物語やカムイ(神)の伝承などから付けられています。一般的なアイヌ語地名は、そこがどのような場所なのか―を示しています。例えば「クッタルシ=イタドリの多いと
胆振東部地震でライフラインが断絶した厚真、安平、むかわ3町。大規模停電(ブラックアウト)に断水が追い打ちを掛けた。陸上自衛隊第7師団は地元自治体などの要請に基づき、発災初日の昨年9月6日から同10月5日まで給水支援を展開。総給水量は日高町の支援も含めると95万リットルに達した。 第72戦車