• 人知れず
    人知れず

       多くの企業で3日入社式があり、新年度が実質スタートした。新入社員たちの表情は輝いていた。札幌市の北海学園大学では2日に入学式があり、ワールド・ベースボール・クラシックで優勝を果たした栗山英樹監督が「最後まで自分を信じ、挑戦し続けてください」と新入生を励ましたとテレビが報じていた。  栗山監督

    • 2023年4月4日
  • 誰のため
    誰のため

       「なせば成る、なさねば成らぬ何事も」―。強い意志で前を切り開く大切さを説いたこのフレーズは、停滞と劣化の現代社会から脱却し、新時代へ歩みを進める上で見直されるべき言葉の一つだろうと思う。江戸時代後期の米沢藩主・上杉鷹山(ようざん)が残した名言だ。  明和4(1767)年、17歳で家督を継いだ

    • 2023年4月3日
  • つらい
    つらい

       千歳市といえば国際空港都市、基地のまち、支笏湖を中心とした観光都市―などいろいろな代名詞を付けて知られ、記憶されている。しかし、農業のまちでもあることは、あまり知られていない。水田や畑作のほか酪農、畜産も盛んだ。中でも鶏卵の出荷量は大消費地・札幌に近接する地の利を生かし、極めて多い。  養鶏

    • 2023年4月1日
  • 中小企業
    中小企業

       NHKの朝の連続ドラマ「舞い上がれ」が今週で終わる。仕事が休みの平日の朝、家人に付き合って見ることがある程度だが、ヒロインがパイロットの夢を断念して家業の町工場の再建や、航空産業への参入に向けて他の町工場と協力して奮闘する辺りで興味を感じた。最終盤は学生時代の仲間らと共に「空飛ぶクルマ」への挑戦が

    • 2023年3月30日
  • ボタン
    ボタン

       先週の金曜日の朝、家人のスマートフォンに一枚の写真が届いた。首都圏に住む最年長の孫の、小学校卒業式の朝の記念写真だ。スーツを着てネクタイを締めた写真には、「行ってきま~す」の文字が添えてあった。また大きくなった。  その日の夜、1980年の前後にはやった、曲名に「春」の文字の入る歌の特集を聴

    • 2023年3月29日
  • 春はセンバツから
    春はセンバツから

       数年前、兵庫県西宮市在住の知人宅に数日お世話になった。ベランダからは工業地帯と海が見渡せ、潮風が気持ちよかった。  しばらくベランダでのんびりしていると、遠くからかすかに歓声らしき声と何やら音楽が途切れ途切れに聞こえてきた。「何? 運動会?」。聞くと、甲子園球場の応援で、風向きによってはよく

    • 2023年3月28日
  • 自然誌研究家
    自然誌研究家

       「野鳥はなぜ長く複雑なさえずりができるのですか?」「鳴管と呼ばれる器官を使って、息を吸うときも吐くときも発声することができるからです」  2年前にスタートした連載「教えてムラさん」の初回のやりとりは、そんな感じだった。ゆうふつ原野自然情報センター主宰の村井雅之さんに、Q&Aスタイルで自然に関

    • 2023年3月27日
  • 余韻
    余韻

       何と慌ただしい春。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が逆転の連続で優勝を決め、スポーツの熱気を例年になく早く盛り上げた。チームの一行は23日に帰国したが、新聞やテレビの報道を見ると、一瞬で21日までの緊張の時間に引き戻される。決勝戦の札幌地区のテレビ視聴率は50%と記録的な高さ。「

    • 2023年3月25日
  • 街頭で
    街頭で

       初夏のような陽気が続いた札幌。昨日からは一転、冷たい風が吹き始めた。統一地方選の第1ラウンド、道知事選のゴングが鳴った。春はもうそこまで来ているが、肌寒い街頭での取材が始まった。  知事選を巡っては、告示が近づくにつれ、まさに百花繚乱(りょうらん)の候補予定者が次々に出馬を表明。最大6人まで

    • 2023年3月24日
  • 決め手
    決め手

       柔らかな日の光を浴びて、大地の表面に若芽が顔を出し始めた。いてついた状況からも必ず新しい可能性が芽生えてくる。そんな感覚の季節になってきた。希望や未来という言葉が当てはまる。  未来で言えば、次世代半導体の国産化を目指す新会社ラピダス(本社東京)が、新たな工場を千歳市の工業団地に建設すること

    • 2023年3月23日
  • ルール
    ルール

       北海道を含め、まるで初夏を思わせるような爽快な天気が続いた。日曜の朝、テレビのスイッチを入れると民放のニュースのトップはロシアのプーチン大統領に国際刑事裁判所から逮捕状が出たニュース。続いたのはアメリカのトランプ前大統領が自ら「21日に逮捕される」とインターネットに投稿したという話題。殺人や放火、

    • 2023年3月22日
  • 政治の劣化
    政治の劣化

       政治の劣化が著しい。そう思わせるのは、放送法が定める政治的公平性の解釈に関する総務省文書を巡る高市早苗経済安全保障担当相の国会発言だ。  2015年5月に当時、総務相の高市氏が放送法の政治的公平性に関し、「番組全体を見て判断する」とする従来の解釈に加え、「一つの番組でも判断できる」と答弁、法

    • 2023年3月20日
  • はやり
    はやり

       「春闘ベア 満額続々」「低所得世帯に3万円 子育て中なら上乗せ」。新聞に連日、心強い見出し。きょうは「男性育児休暇 30年度85%に」。国民の苦しさが、政治にようやく伝わったのか。  きのう、岸田文雄首相が記者会見して懸案の子育て支援、少子化対策の概要を説明した。育休の取得率上昇を目指すだけ

    • 2023年3月18日
  • 部活動
    部活動

       小学校を卒業し、4月に中学生になる子どもらには、部活動を楽しみにしている子もいるだろう。その部活動(主に運動部)は今、運営主体を学校から地域の民間クラブなどに移す動きにある。  教員の負担軽減などが目的で、休日の活動から始めて段階的に平日に広げられる見通し。胆振管内でも自治体の教育委員会が、

    • 2023年3月17日
  • 身構えと心構え
    身構えと心構え

       東日本大震災が起きた年に退職し、勤務先のあった本道で余生を送る恩人と、つい先日、手紙を交換した。東北地方の出身で、12年前の3月、ふるさとの地が大被害に遭っていた。今もつらく忘れ難い経験は癒えない―としたためていた。日ごろ明朗な人柄だけに察するに余りある悲しみが文面からにじんだ。生きる者の義務とし

    • 2023年3月16日
  • 時代
    時代

       きのうの朝刊にノーベル文学賞受賞作家の大江健三郎氏、日本で初のコンビニ=セブン―イレブンを展開した伊藤雅俊氏らの死亡記事が並んだ。時代の変転の速さ、自分との関わりを振り返った。  伊藤氏は衣料品販売イトーヨーカドーの創業者。半世紀ほど前には全国に総合スーパーを展開していた。地方紙の商店街担当

    • 2023年3月15日
  • 迷い
    迷い

       12年前に見た岩手県陸前高田市の光景を忘れることはできない。ある一線から先、何もかもがなくなっていた。  11日のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次リーグ第3戦で先発した佐々木朗希投手は小学3年生だった2011年3月11日、東日本大震災の津波で同市の自宅を流され、父功太さんと祖

    • 2023年3月14日
  • マスク緩和
    マスク緩和

       社会の風景が変わると思いきや、そうでもなかった。今日から屋内外を問わず、マスクを着けるかどうかは個人の判断になったけれど、通勤で街を歩く人もコンビニ客もほとんど着けていた。1人で運転する車の中でも。国内で新型コロナウイルス感染者が確認されてから3年。長く続いたマスク社会が大きく転換する日を迎えたが

    • 2023年3月13日
  • まさか
    まさか

       きょうは約2万2千人が犠牲になった2011年の東日本大震災から満12年の「3・11」。不思議な目覚めだった。空が白み始めた午前5時すぎ、ぐらぐらと体が揺れ始めて、慌ててラジオのスイッチを入れると、日高管内東部を震源とする震度4の地震情報。「きょうは地震で一日が始まるのか」と、偶然に驚いているとアナ

    • 2023年3月11日
  • 飼養
    飼養

       認知症は誰もが、年を取るほど、なる可能性がある。65歳以上の5人に1人は認知症になるという推計もある。普段から生活習慣の改善や予防的な運動を心掛けること、早期に発見や治療をするためにも症状やサインを見逃さないことが重要だ。知識としてはあったが、犬も認知症になるとは、思ってもいなかった。  愛

    • 2023年3月10日
  • 淘汰
    淘汰

       「酪農家戸数6・5%減」―。2月27日付の本紙6面に載った小さな記事の見出しだ。袖見出しは「餌代高騰、経営を圧迫」。減少幅の大きさに息をのむ。  生産者団体が昨年12月の数字を発表した。指定生乳生産者団体に出荷している酪農家は全国で1万1202戸、うち北海道は3分の1以上の4746戸。この1

    • 2023年3月9日
  • 優しさ
    優しさ

       「妹よ ふすま一枚 隔てて今 小さな寝息をたてている妹よ―」。南こうせつさんの「妹よ」が先日、ラジオから聞こえてきた。あす嫁ぐ妹への思いを静かに歌っていて、心が穏やかになった。  きょうだいは、きっと人間関係のありようを学ぶ基礎。けんかをすることは多くても我慢や助け合いを学ぶ出発点。兄と妹だ

    • 2023年3月8日
  • ノック
    ノック

       30年以上前、母校の高校野球公式戦の試合前のノックを頼まれたことがある。選手として公式戦は経験していたが、ノックだけは初めて。選手がグラウンドの状態を確かめられるように打球に強弱をつけたり、軽く左右に打ち分けた。外野には風向きを考えるような打球も求められ、これがはたで見ているほど簡単ではない。観客

    • 2023年3月7日
  • 統一地方選
    統一地方選

       地域のリーダーを決める統一地方選の告示日が迫り、立候補を予定する現職、新人の動きが活発化している。全国的に日程をそろえることで有権者の関心を高め、経費も節減できると4年に1度行われてきたが任期満了前の首長辞職や議会解散などで「統一率」は3割を切った。統一選とは名ばかりで今こそ一緒に行い関心向上につ

    • 2023年3月6日
  • 反省は
    反省は

       本紙最終面の天気欄によると、きょうの苫小牧の日の出は午前6時6分、日没は午後5時26分。昼の時間が長くなり暖かい日も増え、いよいよ春。雪の上にヒヨドリの姿が見え、「北への渡りはまだ早いのに」と心配したが取り越し苦労。季節を読む野鳥の目に間違いはない。  春になれば―と遊びのあれこれを指を折っ

    • 2023年3月4日
  • 敗戦から復活へ
    敗戦から復活へ

       遠い昔、駆け出し記者の頃。家族で千歳市で暮らしていた時代がある。ある日、まだ2歳だった息子が三輪車に乗ったまま消えた。見つかったのは、自宅からかなり離れた隣接する臨空工業団地。その企業の守衛さんが、三輪車に乗る幼児を心配して交番に通報してくれた。息子は三輪車と一緒にパトカーで帰ってきた。そんな懐か

    • 2023年3月3日
  • 難しい言葉
    難しい言葉

       SDGs(エスディージーズ)にDX(デジタルトランスフォーメーション)。最近、新聞でもよく使われる言葉だ。ローマ字表記が一層、分かりにくくしていて、いろいろな説明を読んでもなかなか胸にストンと落ちてこない。  SDGsは持続可能な開発目標と訳されるが、これだけではイメージが湧かない。世界のリ

    • 2023年3月2日
  • 罪悪感
    罪悪感

       国連難民高等弁務官事務所の2月中旬の集計によると、ロシアの侵攻を受け、より安全な土地を求めて国内に避難したウクライナ国民は535万人に上るそうだ。国外に避難した人も807万人。うち日本国内には約2300人が避難し自治体の公営住宅などで暮らしている。  侵攻から1年に当たり、新聞やテレビが避難

    • 2023年3月1日
  • 車間距離
    車間距離

       40年以上前に通った東京の自動車教習所の教官に「前の車の後部バンパーが見えるぐらいの位置」と教えられた。信号待ちなどで停車する時の車間距離の取り方のこと。以来、ずっと実践してきた。  先日、訪問先の名古屋市で車を運転した際、周りの車と車の停止距離が予想外に広く違和感をもった。ざっと見て車1台

    • 2023年2月28日
  • ソウルフード
    ソウルフード

       自然豊かな北海道は山海の幸の宝庫。サケ・カニ料理、ジンギスカン、ザンギ、スープカレー、ラーメンなど、ソウルフード(郷土食)は多数あり、今月15日には「北海道のソウルフードを食べる日」が一般社団法人日本記念日協会によって認定登録された。  その日は3月1日。あさって初めて迎える。今後、認知度が

    • 2023年2月27日