• 殺処分
    殺処分

       「がんばらない」などの著書のある医師鎌田實さんの「死を受けとめる練習」(小学館文庫)に、家畜の伝染病・口蹄(こうてい)疫のまん延を防ぐために処分された牛のことが、農家のつらさとともに紹介されている。2010年4月、国内で初めて感染が確認された宮崎県都農(つの)町のMさん夫婦の体験だ。  全頭

    • 2023年5月10日
  • 春の鵡川
    春の鵡川

       今年は春が早い。それならと期待したわが家の桜は、いつもとそう変わらず拍子抜けした。桜なりにわが道を歩むということなら、それも楽しいと思い直す。  2週間前、桜に先駆けて咲くキタコブシが気になり、胆振東部のまちに出掛けた際、思い入れのある木の所に立ち寄ってみた。道によれば、キタコブシは「花付き

    • 2023年5月9日
  • 感染対策とごみ
    感染対策とごみ

       新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「2類相当」から「5類」に引き下げられた。ウイルスがなくなるわけではないのに、きょうを境に一変することが多く落ち着かない。  この1面もそうだ。道民の感染が初めて確認された2020年2月以降、道が発表する新たな患者数を毎日欠かさず掲載してきた。それが

    • 2023年5月8日
  • 修正を
    修正を

       帰省した家族連れも多く、行楽地がにぎわっていた大型連休終盤の午後、石川県の能登半島先端部を震源とする震度6強の大きな地震が発生した。心配しながらテレビの臨時ニュースを見続けた。こいのぼり、こどもの日―。澄んだ青空の似合う日のはずだったのに。きょう未明には北海道も広範囲に揺れた。グラグラと長い揺れで

    • 2023年5月6日
  • したから
    したから

       「どちらにしようかな神様の言う通り、ナノナノナスビは決めたかな? カキノタネ 今何時? 」  ん? ちょっと待てよ。先日、家に遊びに来た女児が口ずさんでいた童歌。自分の古里旭川のフレーズとどこか違う。その場は聞き流したが、後から頭をひねる。出だしが「どちらに」ではなく「どれに」だったし、結び

    • 2023年5月4日
  • つぼみ
    つぼみ

       「富士山が見えたときは、涙がこぼれそうになった」。武力衝突の続くアフリカのスーダンから緊急避難した邦人の言葉。山は、その高さと美しさで見上げて育った者の心を支えてくれる。新千歳空港に近づいていく太平洋上で飛行機の右側の窓に、純白の雪をまとった日高山脈が見えたときのうれしさを思い出す。  結婚

    • 2023年5月3日
  • 生きる
    生きる

       雨上がりのきらきらした日差しを浴びて吹く風を「光風(こうふう)」と呼ぶそうだ。そんな風が吹いたゴールデンウイーク(GW)。札幌で桜の花が散っている。統計史上最速で到着した反動で、早くも桜の季節が終わろうとしている。  札幌のシネコンで話題の映画「生きる LIVING」(オリバー・ハーマナス監

    • 2023年5月2日
  • 物流拠点
    物流拠点

       注文した荷物が自宅に届かなくなる。こんな懸念が出てきているのが2024年問題だ。ニュースなどで聞かれるようになってきたが、この言葉だけではどんな問題かが分からない。端的に言うとトラック運転手の人手不足が慢性化することだという。  労働基準法の改正で2024年4月からトラックドライバーの時間外

    • 2023年5月1日
  • なぜ?
    なぜ?

       アメリカのケネディ大統領が暗殺されたのは1963年11月22日のことだ。銃器大国アメリカの病巣を、胆振の東端の中学生を含む世界中の人が同時に目撃した。記憶はあいまいだが、確か親に指示されて家の周りの雑草取りをしていた。兄の「ケネディが撃たれた!」という大きな声が聞こえ、それから数日は、オープンカー

    • 2023年4月29日
  • 家庭菜園
    家庭菜園

       家庭菜園のシーズン到来。自宅近くの園芸店には早々に春の花々が並び、品定めに来る園芸愛好家の目を楽しませている。今年は雪解けも早かったため、わが家は今月初め、わずかな菜園スペースに有機肥料をまいて下準備。3月下旬にはミニトマトやスナップエンドウなどの種を育成カップに植えた。暖かな日和に意外に早く発芽

    • 2023年4月28日
  • 春

       よく行く食品店の卵売り場の掲示が、購入数を制限する「お1人さま1パックまで」から、売り切れご免と伝える「本日の入荷予定は○パックです」になった。記者が店に寄る時間には一つもなく、何度も買えずに帰宅している。  卵は昨年4月の初めまで、特売日なら1パック(10個入り)110円前後で買えた。それ

    • 2023年4月27日
  • 洗濯機
    洗濯機

       冷蔵庫やテレビなど付き合いの長い家電製品が幾つかある。その一つ、洗濯機が新品に変わった。古い洗濯機は先日、汚れ落としが終わり、すすぎが済み、脱水が始まるはずのところでまた汚れ落としを始めた。家人は改めてゴーゴーと回り始めた洗濯機を指さして「ね、壊れてる」。これまでにも何度かそういうことがあったが翌

    • 2023年4月26日
  • 山崎さん
    山崎さん

       最後の曲はE・エルガーの「行進曲『威風堂々』第1番」。小学生から有名なプロ奏者までが大編成で真心込めて演奏し終えると拍手は鳴りやまなかった。後日、出演した苫小牧在住奏者に尋ねると「涙を流しながら演奏した。あんな演奏会は初めて」と感激をよみがえらせた。  千歳市に長く暮らした札幌交響楽団元団員

    • 2023年4月25日
  • 政治と言葉
    政治と言葉

       中国に「朝三暮四」という古い寓話がある。内容はこうだ。貧乏になった男が餌代を削るため、飼っている猿たちに言った。「お前たちにやる木の実をこれから朝三つ、晩は四つにしようと思う」。食い物が減らされると、激怒する様子を目に今度は「ならばこうしよう。朝は四つに増やす。晩は三つでどうか」。数は変わらないの

    • 2023年4月24日
  • 行動を
    行動を

       マイクを握り、声を張り上げる選挙運動というものの経験がない。車の窓から見知らぬ人に、あるいは知人の顔を見つけて手を振ったことも、一度もない。  あるまちの首長さんに、初めての選挙の時の勝利の喜びの記憶を聞いたことがある。首長氏は、立候補者としての選挙経験がまったくなかった。初日は、無反応の人

    • 2023年4月22日
  • 大昭和戦士逝く
    大昭和戦士逝く

       息の長い選手だった。大昭和製紙北海道野球部などで投手として活躍した桐木孝司さんが17日に急逝した。51歳だった。今年も社会人のクラブチーム「WEEDしらおい」の投手兼コーチとしてマウンドを踏むのを楽しみにしていた。  1990年、桜丘高(白老町)から大昭和製紙北海道入り。3年目、力のあるスト

    • 2023年4月21日
  • 糧

       1カ月間に及ぶ統一地方選も、大詰めを迎えている。苫小牧市議選は定数28に対し、29人が火花を散らす少数激戦で、舌戦は熱を帯びる。遊説カーがまちを隅々まで回り、候補は喉をからす。  そんな選挙の取材を、20年前から担当している。最初の体験は、大激戦の構図となった、ある統一地方選の前半戦。有力候

    • 2023年4月20日
  • 閉塞感
    閉塞感

       下宿私大生 初期費225万円―。2022年度に首都圏の私立大に入学した学生の受験費用から敷金・礼金までの初期費用の、平均額が前年度よりも2万円以上多く、過去最高を更新した。東京地区私立大学教職員組合連合会の調査結果が毎年この時期に報道される。翌日には「少子化対策『期待できぬ』61%」との世論調査結

    • 2023年4月19日
  • 選挙は続く
    選挙は続く

       4年に1度の統一地方選は前半の道知事選と道議選が終了し、残る市町村長選、市町村議選などが23日に投開票される。東胆振、日高は首長選はなく、苫小牧市議選が16日に告示され、厚真町と日高管内5町の町議選が18日、告示された。全道を見れば、市議選は26市のうち室蘭、登別など5市が無投票だった。きょう告示

    • 2023年4月18日
  • ピッチクロック
    ピッチクロック

       40年ほど前の室蘭支部の高校野球の話。投手が一塁へ10球続けてけん制球を投げた。4球目くらいから走者はゆっくり帰塁、攻撃チームからやじが飛んだ。すかさず主審がタイムをかけ、投手に「無駄に時間を使うけん制は控えるように」と注意した。  試合後、主審が捕手に「さっきのけん制の意図は何だった?」と

    • 2023年4月17日
  • ヒグマ
    ヒグマ

       本州の各地で平年より2週間も早いサクラの開花が続いた。早咲きは北海道でも変わらず、渡島管内松前町では11日、函館市でも14日に、平年より14~16日も早い開花宣言が行われた。例年なら大型連休中に咲く、わが家の庭のエゾムラサキツツジも、すでにつぼみが紫に色づいた。温暖化という言葉を思い起こしながら花

    • 2023年4月15日
  • 想像力
    想像力

       フィリピン政府は昨夏、日本の小売業界に対し、自国産バナナの値上げを要請した。肥料価格や船舶輸送費が高騰し、農家はほとんど利益が出なくなっているという。ほぼ毎日食べている果実だけにその後の価格動向を気にしてきた。家族は「少し高くなった」と言うが、店頭で値札を見てもあまりそう感じないのはもともとが安す

    • 2023年4月14日
  • 2期目へ
    2期目へ

       夕暮れの札幌市中心部のビル街。冷たい春の風が吹いた。4年に1度の道知事選の投開票日。本社から応援に来た若い記者と軽く打ち合わせをした後、ススキノと大通にある両陣営を回って幹部と雑談を交わした。開票作業が始まる前の時間帯は何度経験しても不思議な高揚感のようなものが消えない。短期間であっても深く取材し

    • 2023年4月13日
  • 爪切り
    爪切り

       毎日届く新聞を、どこから読み始めるだろう。自分は、おくやみ欄から読むようになって久しい。お世話になった人の名、親しかった人の名がないかを確かめて、あればあれこれを思い出しながらの一日が始まる。そういう年齢なのだ。  きのうの朝刊のおくやみ欄にMさんの名があった。住所も年齢も間違いない。40年

    • 2023年4月12日
  • 物忘れ
    物忘れ

       春は花が咲き、世の中も入学、進級、転勤など活発な動きが生まれ、ものみな活気づく季節だ。うららかな陽気に誘われてうとうとする心地よさもこの時期の特徴なのかもしれない。梅と桜の前線が足早にデッドヒートを繰り広げ、桜開花の便りはそこまで来ているようだ。  顔は知っていても名前が出てこない。固有名詞

    • 2023年4月11日
  • これから
    これから

       「歩いた家の数以上に票は出ない。握った手の数しか票は出ないんだ」。自民党の石破茂元幹事長が若いころに田中角栄元首相から聞いた選挙に勝つための極意という。余計なことは考えず、とにかく歩けという教えだったそうだ。  統一地方選の前半戦は9日に投開票が行われた。コロナ下の選挙戦は、握手に代わって拳

    • 2023年4月10日
  • 投票率
    投票率

       数日前「期日前投票」という制度を初めて利用した。仕事柄、選挙や制度のあれこれを取材し、記事にしてきたが投票日以外の日に投票したのは初めてだ。  複数の病気の宣告を受け、投薬と定期検査を受ける身。体力回復の訓練は続けているものの、まだスタスタとは歩けない。統一地方選は、以前から期日前投票を行っ

    • 2023年4月8日
  • 代替肉
    代替肉

       豆は畑の肉と言われ、今は大豆で作られた加工食品が「大豆ミート(肉)」という名で市場に出回っている。油分を絞った後の大豆かすに手を加え、味や食べ応えを肉に似せたもので、ハンバーガーなどに利用されている。  肉といえば、牛や鶏の細胞を栄養成分の入った液体の中に入れ、食べられる大きさになるまで増や

    • 2023年4月7日
  • 惜別
    惜別

       レッドイーグルス(RE)北海道監督だった菅原宣宏さん(47)の退任が先月31日に発表された。コロナ禍のただ中だった2020~21年は王子イーグルス、次いで21~22年はクラブ化して現名称のチームを日本勢5団体だけで競ったアジアリーグ・ジャパンカップ連覇に導いた名将だ。王子製紙アイスホッケー部現役デ

    • 2023年4月6日
  • 夜なべ
    夜なべ

       先月の全国紙に「日本女性 世界的に短い睡眠」という特集記事があった。示された経済開発協力機構の2021年の調査によると日本人の平均睡眠時間は7時間22分で調査33カ国中最短とか。女性は男性より、さらに13分短かった。棒グラフを見ると、中国やアメリカ、フランスなどは女性の方が睡眠時間が長い。

    • 2023年4月5日