白老町社会福祉協議会(町社協)と町災害ボランティアセンターは19日、災害発生時に自力避難が難しい高齢者や障害者、要介護者などの避難方法を定める「避難行動要支援者個別避難計画」に理解を深める町民防災講座を町総合保健福祉センターで開いた。町民ら85人が講師3人の話に耳を傾け、町からは来年度にも同避難計画の策定を目指す考えが示された。
同講座は毎年今時期に開かれており、今年は同町の高齢化率が10月末時点で47%に達したことを踏まえ、災害時に高齢者や障害者の避難について考えておく重要性が高まっていることから、同避難計画に視点を当てた内容にした。
講師は、町防災交通室の高野基哉室長、同避難計画策定先進地・後志管内余市町の町危機管理対策室の岡欣司室長、苫小牧市社会福祉協議会総合支援室の千寺丸洋室長。
高野室長は、同避難計画が2021年に改正された災害対策基本法によって策定が市町村の努力義務になったことを説いた。背景には11年に発生した東日本大震災で高齢者や障害者の死亡率が一般死者の約2倍だったことがあり、13年の同法改正では支援を必要とする人を事前に登録して緊急時の迅速な避難誘導につなげる「避難行動要支援者の名簿作成規定」が創設されたことも説明した。町内の避難行動要支援者は550人(10月現在)で、この中から施設入所者や転出者などを除く該当者に同名簿作成への協力を求めていくことや、来年度にも同避難計画の策定に着手する考えを示した。
岡室長は、余市町では今年度から町内2カ所のモデル地区で個別避難計画を検証していることを伝え、要支援者の避難をサポートする立場の町民に対し「『万一、助けられなかったら』と思う必要はない。自分や家族の安全を確保した上で、できる範囲で支援をするべき。支援は義務ではなく、できなくても責任を負うものではない」と強調。計画策定は住民や関係機関が協力し合えるまちづくりに資するもので、個別支援者に過度な責任を負わせるものではないことを語った。
千寺丸室長は、苫小牧市内での要支援者支援活動の中から、障害の特性や必要な配慮を知ってもらう澄川西町内会の「あいサポーター研修」、しらかば西町内会のアイマスクや車いす体験を紹介。「地域が無理なく確実に実践できる体制を構築できるよう支援していく」と話した。
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