白老町役場本庁舎に勤務する職員の新型コロナウイルス感染が相次いでいる。21日には新たに2人の感染が明らかになり、19日に1人目が公表されて以降、計4人に上った。職場で2次感染が起きた可能性があり、苫小牧保健所が詳しく調べている。町は、町民の不安も招いた今回の事態に衝撃を受け、庁舎内の対策徹底と職員への健康管理の指導強化を図る考えだ。
■職員4人が感染
町は19日に男性職員、20日に別の部署の職員(性別非公表)の感染を公表。さらに21日には2人の男性職員も感染していたことを明らかにした。
3例目の職員は19日、発熱症状があり、仕事を休んでPCR検査を受けた結果、20日に陽性が判明した。4例目の職員は16日、発熱のため医療機関を受診。この日は勤務しなかったが、症状の改善により17日午後に庁舎へ出勤し、18日も通常通り勤務した。しかし、嗅覚異常が出たため、19日に再び医療機関を受診。PCR検査を受け、20日に陽性と分かった。
この2人の男性職員は、1例目となった職員と同じ部署の同僚。いずれも軽症で現在、医療機関への入院について調整している。
■ウイルス対策を強化
町は、感染した4人の職員と同じ部署で、自宅待機となった濃厚接触の職員らについて「PCR検査の結果、全員が陰性。庁舎内での感染の広がりはこれ以上ないのでは」とみる。「保健所の調査により、来庁者との濃厚接触もないと確認している」と言う。
しかし、職員の感染が相次いだ事態に動揺を隠し切れない。町は、窓口カウンターに飛沫(ひまつ)感染防止の透明ビニールシートを設置し、職員の3密(密閉・密集・密接)を避ける時差・分散出勤を取り入れるなど予防を講じてきたが、その中での発生に強いショックを受けている。
行政機関で新型ウイルスの感染が広がれば、行政事務・サービスの停滞を招きかねない状況となる。それを補う態勢は整っていない。このため、白老町も対策に力を入れてきたが、「これまで以上に強化したい」と話す。職場での間仕切り増設など3密をより回避する方策を検討し、職員に対し勤務時間の内外を問わず、感染予防の行動と健康管理に努めるよう改めて求めていくという。
■町民に広がる不安
町職員の感染は、経路が不明で不可抗力と言える。だが、今回の役場の事態や道内で感染者急増の情勢を踏まえ、不安を募らせる町民は少なくない。
町内に住む70代の男性は「いよいよ白老にもウイルスが押し寄せるのだろうか。重症化の恐れがある高齢者が多いまちだけに今後、心配だ」と話した。町によると、感染1例目を公表した翌日の20日、役場を訪れる人は通常より少なくなり、町民の間で広がる懸念を物語った。
別の町民は「自治体は地域へ感染予防を呼び掛ける立場。職員から感染者が出たならば、拡大防止に努めるなどの対策のメッセージをいち早く町民に発するべきだった」と指摘した。