厚真町観光協会と旅行会社東武トップツアーズによる寒冷地の防災とキャンプをテーマにした「サバイバルキャンプ」のモニターツアーが10、11両日、町本郷のこぶしの湯あつまで行われた。バス会社や観光団体の関係者、学生など12人が参加。火おこしや炊き出し、ロープワークなどを体験し、日々の備えや防災について学びながら交流を深めた。
観光庁による「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」の助成を利用し、1泊2日の日程で行われた。
初日はバスで4年前の震災で19人が犠牲になった吉野地区の被災現場などを見学した後、こぶしの湯あつま前の広場に戻って氷点下の気温をしのぐためのワークショップを実施。着火剤を使って実際に火をおこしたほか、夕食ではたき火とガスこんろで沸かした湯でレトルトカレーやインスタントのみそ汁を調理し、凍えた体を温めた。11日は朝食を取った後、ロープを使ってもやい結びなど実際のキャンプで活用できるロープワークを体験。苦戦しながらも真剣に結び方を覚えた。
札幌大学で地域活性化について学ぶ地域共創学部3年の山田真平さん(21)は「被災したところを直接見る機会はなかなかないので勉強になった。若い世代にたくさん来てほしいし、もっと被災地を知ってほしい」と話す。同学部3年の廣島優奈さん(21)は「現場の人の話も聞いた方がいいと思って参加した。この町が好きになるきっかけになると思う」と言い、今回のプログラムについて「実際に体験してみないとできないこと。非常にためになった」と振り返った。
今回の企画は、地域に観光客を呼び込むと同時に、胆振東部地震で震度7を観測した厚真町でのキャンプを通し、防災に理解を深めてもらおうと同協会と同社が連携して企画したモデル事業。今後、モニターツアーの成果や課題を洗い出し、寒冷地ならではの防災体験ができる事業とするため検討していく。
同社札幌支店の鈴木美咲主任は「厚真町で万が一の備えを模擬体験ができたら。お客さんに来てもらうことを目指しており、モデル事業をフィードバックし、煮詰めていきたい」と前向きな姿勢。同協会の原祐二事務局長は「震災の経験や教訓を受けて、災害への備えなど(被災者が)学んだことを伝えていきたい」と話していた。