8 日本軽金属苫小牧製造所 栗田(くりた) 勤(つとむ) 所長 需要の戻り実感 付加価値の高い製品開発を

8 日本軽金属苫小牧製造所 栗田(くりた) 勤(つとむ) 所長
需要の戻り実感 付加価値の高い製品開発を

 ―昨年を振り返って。

   「前年に引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響が出ている。原材料や燃料費の高騰、円安、物流の停滞など大なり小なり、直接、間接であった。自動車の半導体不足、建設の資材高騰などにより、受注があっても生産できないこともあった」

   「物の動き自体は出ており、(苫小牧製造所の日本軽金属グループ)生産の増減は部署によりけり。(アルミ製品を加工・製造する)日軽北海道は遅れていた分の受注が入るなど、生産は前年と比べてプラスで、特に後半は高稼働になった。逆に人集めがなかなか進まず、人手不足の面があった」

   ―今年の展望は。

   「コロナ、原材料の価格高騰、ロシアのウクライナ侵攻とまったく先が見通せないが、経済全体は回っていくと思う。(自動車部品製造の)日軽松尾は大型溶解炉を増設し、自動車ブレーキ部品の生産能力を1・5倍にしたが、需要は戻ってきたと実感している。今年は大々的な投資の予定はないが、少しずつ新しいことを進めていく」

   「(日軽北海道サービス事業部の)バス事業は学校関係、修学旅行の利用がほぼ戻り、インバウンド(訪日外国人旅行者)も徐々に増えてきた。今年もコロナ次第で、運転手不足の課題もあるが、観光需要がさらに戻った時の波に乗れるよう、スキーバスツアーも取り組んでいきたい」

   ―日軽北海道と苫小牧工業高等専門学校は前年度から、アルミの技術を駆使した車いすを共同開発してきた。

   「今年度内に試作品ができそうで、来年度はいよいよ実際に造る。これまで材料に近い製品が多かったが、消費者に近い製品も造っていきたい。アルミは軽く、加工しやすい特性がある一方、鉄と比べてコスト高など、メリット、デメリットがある。時代のニーズに合わせて応用し、アルミの良さを生かしていきたい。従来の事業は従来通り伸ばすべきだが、同じことだけをやっていても競争に生き残れない。付加価値の高い製品の開発を、これからも進めていきたい」

   ―カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ)の取り組みは。

   「日軽金グループとしては温室効果ガスを、2030年に13年比で30%削減、50年にはゼロに向けて活動しており、苫小牧製造所内の各事業所もそのスケジュールで動いている。物流のアイドリングストップなど地道な省エネから、日軽松尾の低燃費溶解炉の導入など活動を積み重ねている。日軽金アクト(東京)はアルミの水平リサイクルで、新幹線車両から新幹線車両を造っている。苫小牧でもすぐにできる話ではないが、水平リサイクルに取り組んでいきたい」

  メモ

  日本軽金属グループ複合組織。苫小牧市晴海町の製造所約93万平方メートルに6社が立地し、新規事業、加工製品事業を担う。従業員数は500人規模。

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