10 苫小牧埠頭 海津(かいづ) 尚夫(たかお) 社長 道産食品の輸出促進 荷動きコロナ禍前まで回復

10 苫小牧埠頭 海津(かいづ) 尚夫(たかお) 社長 
道産食品の輸出促進 荷動きコロナ禍前まで回復

 ―昨年を振り返って。

   「コロナ禍が続いたものの、海上輸送の荷動きは回復しつつある。道内の7割を扱うコンテナは昨年、2021年比で1割以上増加した。昨年の貨物取扱量は、19年の水準まで戻ることが確実で、コロナ禍前に回復したと言ってもいい。売り上げも昨年4月以降で1割の増収ペース。コロナ対策の行動制限の緩和で、外食や観光の需要が戻りつつあることや、段ボール原紙の輸送増加が貢献した。一方で全般的な物価上昇に加え、電力などエネルギー関連費用も前年比で2割超上がっている。売り上げは伸びているが、利益面の先行きは読めない状況だ」

  ―食品物流拠点として苫小牧港・東港付近に開設した大型冷凍冷蔵倉庫の稼働状況は。

   「北海道クールロジスティクスプレイスという名で20年に開設したが、春先から秋の時期は、冬場に比べ稼働が落ちる状況にある。しかし、平準化しつつあり、営業努力で保管食品の在庫率が7割を超える月が増えた。クールロジスティクスを利用した食品の輸出入も年々増え、取扱品目も輸出入国も広がっている。立地を生かし、道産の農産物の輸出促進に引き続き力を入れたい」

  ―道産サツマイモの輸出に向けた大規模選果施設の稼働状況はどうか。

   「市新開町に整備した施設で昨年11月から12月にかけ、試験的に道内生産者から集荷したサツマイモの選別、苫小牧港を通じた出荷を行った。1カ月強で110トンを取り扱い、北海道でも十分にやっていけることが確認できた。ただ、出荷量によってはトラックで東京に運んだこともあり、課題もある。今年はその課題を解消しながら取扱量の倍増を目指す。海外で人気が高く、高値で取引できるため、サツマイモ生産は全道的に熱いムード。ジャガイモの4分の1の肥料で育てられ、肥料高騰の中ではメリットが多い農作物だと思う」

  ―今年の展望について。

   「昨年11月に策定した中期経営計画では『環境エネルギー』と『食農』を注力分野に設定しており、推進していきたい。テーマとして5点を掲げている。石油製品の安定供給と水素・アンモニアなど新エネルギー取り扱いの推進。港の飼料サイロに太陽光発電や蓄電池を設置し、温室効果ガス・二酸化炭素の排出を削減。北海道クールロジスティクスプレイスの活用による道産食品の輸出拡大。トラックドライバーの時間外労働の上限規制導入に対応した運送体制の整備―だ。ドライバーの長時間労働解消に向けては、十勝地方にトラック輸送の中継基地整備も検討していく」

  メモ

   1960年に設立された第三セクター。苫小牧港の貨物輸送需要に対応する倉庫業、港湾運送業、穀物サイロ事業などを担う。従業数は318人(2022年4月時点)。

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