登別市在住の彫刻家、北村哲朗さん(66)が胆振東部地震で倒れた被災木の彫刻作品を安平町早来大町のはやきた子ども園に寄贈し、同園で20日、セレモニーが行われた。贈ったのは、巨大なドングリの形をした「ころころ」と、園児の一日を表現したという「ごきげんよう」の2作品。
北村さんは50年ほど前、厚真町鹿沼地区に住み、現むかわ町の鵡川中学校に通学した。2018年9月の地震で大きな被害を受けた3町の力になりたいと考え、苫小牧市内の木材業者からナラの被災木の提供を受けた。彫刻に再活用することで震災の記憶を後世に伝えられるとして、21年度に厚真、安平、むかわ3町に各1点を寄贈。今年度は計13点を届けた。
この日、同園を訪れた北村さんは作品一つ一つに込めた思いを園児に伝え、「彫刻には見るだけではなく、触れてもらう触角の芸術がある。自然と手にしてもらえたら」と期待。さっそく園児たちが興味を示す姿を目の当たりにし、「たくさん触って遊んでもらい、うれしい」と目を細めた。
福田剛園長は「直接作った方の思いや経緯を聞くことで子どもたちの興味も湧くと思う。これからどんどん作品に触れていくのでは」と謝辞を述べていた。