国際先住民観光会議に参加 アイヌの文化や観光の取り組み紹介 ウポポイ職員の村木さんと荒田さん  白老

国際先住民観光会議2024の全体セッションに臨む村木さん(左から2人目、提供)

 白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の運営本部長村木美幸さん(64)と、体験教育課主任荒田このみさん(36)が、カナダ・オンタリオ州オタワで2月に開催された「国際先住民観光会議2024」に招待され、日本では初めて同会議のパネリストとして参加した。村木さんは「短い時間でしたが、国内でのアイヌ民族の歴史的な位置付けやウポポイの意義を伝えられた」と振り返っている。

   同会議は、先住民観光に関する世界最大の会議。16年にカナダ・ノバスコシア州メンバートゥで初めて開催された。今回は6回目で、カナダ先住民観光協会(ITAC)の企画で2月26~28日に開催。現地では全体セッション、講演会、分科会などが行われ、先住民族をルーツとする約1000人が世界各国から参加した。

   2人の招待は、ITAC会長兼CEOのキース・ヘンリー氏が23年9月、北海道大学で開かれた国際シンポジウム「先住民観光の挑戦」(北大観光学高等研究センターなど主催)に参加するために来道し、ウポポイも見学に訪れたことがきっかけになった。

   村木さんは全体セッションで、台湾、メキシコの先住民と登壇し、通訳の谷地田未緒さん(40)と共にアイヌの文化や観光の取り組みについて紹介。質問にも応じた。先住民と観光の関わりについて受け止めを求められた際は「先住民観光の目的は、娯楽よりも相互理解に向かう教育が先にあるべき。先住民自身が自分たちで選び、進めることに自覚的でありたい」と述べたという。

   荒田さんは分科会でアイヌ語の継承について講話。自身や子どもたちのアイヌ語への関わりや先祖の名を歌うシンリッ・シノッチャ(先祖歌)について通訳を交えて語った。

   同会議では、先住民観光の国際的なネットワークを形成していくことが宣言されたという。先住民族の多くは少数派の立場にあるが、文化的配慮などは先進国を中心に進みつつあり、関係者は国内外の先住民族との交流や学習を積極的に進め、多文化共生社会を実現させていく考え。村木さんは「自分たちの状況を語り合う取り組みを通し、互いの知見を共有しながら多文化共生の高みを目指していきたい」と語る。

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