国内最大規模の黒毛和種和牛畜産企業「敷島ファーム」(本社栃木県那須町、高田正樹社長)は22日、町竹浦の飛生地区にある自社農地1ヘクタールに、大気中の二酸化炭素を吸収して育つ巨大ススキ「ジャイアントミスカンサス(和名オギススキ)」の苗3500株を新たに植栽した。
同社は町竹浦の自社ファームで約7000頭の黒毛和牛を肥育する。巨大ススキの植栽は、温室効果ガス排出量を実質ゼロにして和牛を生産する「ゼロカーボンビーフ」の実現が狙い。
巨大ススキは高さ3メートルほどに成長する日本由来のイネ科多年生植物で、大気中の二酸化炭素を1ヘクタール当たり年間約50トン吸収し、地下茎に貯留する能力を持つ。牛の飼料や畜舎の床に敷く資材に活用でき、植栽後は約20年繁茂する強さがある。
同社は巨大ススキの利活用に向けて実証プロジェクトを立ち上げ、2022年6月以降、室蘭工業大学や東京農業大学、農林中央金庫などと自社農地などに累計1万3500株を植栽。15年ほど管理し、茎の二酸化炭素貯留量などを計測し、効果を確認する過程にある。昨年からは苗の販売も開始し、問い合わせのあった大手企業8社のうち6社と契約して販売した。
この日は高田社長自ら、社員約20人と共に汗して苗を植栽した。プロジェクト開始から2年が経過し、最初に植えた巨大ススキは、3メートル近くまで成長した。高田社長は「二酸化炭素を減らし、牛の餌にも敷料にもなる夢のような植物。興味を持ってくれる企業もある。成長したススキは秋にも収穫していく」と話した。