被害の大きさ実感 小中高の教職員対象に防災学習研修会 被災現場を視察 厚真町教委

被害の大きさ実感 小中高の教職員対象に防災学習研修会 被災現場を視察 厚真町教委
胆振東部地震で崩壊した山の斜面を見学する参加者

 厚真町教育委員会は8日、小中学校、高校の教職員らを対象に防災学習研修会を開いた。16人が参加し、町総合福祉センターで講話を聞いた後、バスで町内を視察。2018年9月の胆振東部地震により崩壊した斜面や国の事業で整備した砂防施設などを見て回り、知識を深めた。

   町に転入してきた教職員らが現場を体験し、地域資源を学んだ上で防災学習を計画してほしいと、地震後の19年から開催。座学では町総務課の小山敏史情報防災担当参事が「胆振東部地震とこれまでの歩み」、東北学院大学地域総合学部の定池祐季准教授が「地域資源を活用した防災教育」のテーマで講話した。

   小山情報防災担当参事は地震後の避難所設置状況や災害ごみの大量発生などを説明。人口の1%近い町民の命が失われたことに触れ、「身近な方が亡くなるなど、町民(みんな)が何かしらの形で被害を受けた。地震が小さな町に与えるインパクトの大きさを理解してもらいたい」と話した。定池准教授は地震発生後、町内小中学校で心のサポートに当たった経験などを紹介。「心のケアと合わせて次の災害に備えるアプローチを両面でする必要がある」と指摘した。

   現地視察では、チケッペ川直轄砂防ダムや桜丘チャシ跡などを見学し、町や道開発局の職員から説明を受けた。参加した厚真中学校の渡辺知峰校長は「間近で見て、どれだけの被害かよく分かった。実感を持って子どもたちと触れ合いたい」と述べ、上厚真小学校の事務職員、吉沢晶子さん(48)は「土砂崩れの現場を見て、本当の意味で震災を実感した」と話した。

   町教委は「きょうの経験を生かし、子どもや保護者の背景を踏まえた上で、より良い関係を築いてほしい」と研修の成果を期待した。

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