中野さん20年超休まず発行 月刊ミニコミ紙「白老の自然」 手書きの文章とイラストで分かりやすく

中野さん20年超休まず発行 月刊ミニコミ紙「白老の自然」 手書きの文章とイラストで分かりやすく
最新号を手に、2年後の9月に迎える300号達成を見据えている中野さん

 白老町で四季折々に見られる植物、野鳥、昆虫などを手がきの文章やイラストで紹介する月刊ミニコミ紙「白老の自然」が20年以上発行されている。手掛けるのは、体調不良で次女が住む苫小牧市に引っ越す1年前まで、町内に住んでいた中野嘉陽さん(84)。回復した今は折々に町を訪れて取材し、発行を続けており「今後も皆さんと自然について、分かりやすく親しみやすく、紹介し続けたい」と意気込んでいる。

   「白老の自然」はB4サイズで、中野さんが取材から執筆、印刷、配布まで、1人で手掛けている。「身近な自然の良さを町民に伝えたい」という思いからで、第1号は2001年6月1日に発行。エンレイソウなどを取り上げた。その後も、毎月欠かさずヨコスト湿原、萩の里自然公園、ポロト湖などを散策し、季節の動植物を紹介。紙齢は09年9月に100号、18年1月に200号に達し、9月に276号となった。

   昨年8~10月は体調不良で3回入院し、この間に苫小牧市に転居した。それでも「白老の自然」は休まず発行。退院後は数号をA4サイズにして内容を縮小したが、町内の団体職員や苫小牧市の自然観察指導員らが執筆に協力し、発行を継続。体調が回復してからは、サイズを元に戻し、活動を続けている。

   自然との向き合い方について中野さんは、「自然保護は『一部の人の難しそうな取り組み』ではない。全員にとって身近で、生きる上で大事なこと」と語る。紙面を通し、「上段に構えて『教える』のではなく、みんなと同じ目線で考え、取り組み、守っていくものだと呼び掛けたい」と理解を求める。

   手がきにはぬくもりがある半面、かき手はエネルギーを消耗する。周囲からは体調を心配されるが「無理せず養生して、という声はあっても発行をやめないで、という声はまったくない」と声を張る。冬場の寒さは取材には厳しいが「皆さんの応援が力。一緒に自然の大切さについて考えていけたら」と笑う。

   発行部数は170部。町立図書館や町中央公民館のほか、苫小牧市文化交流センター、道立図書館にも配布している。

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