柳葉魚観音菩薩を建立 シシャモ漁の資源回復願う 永安寺 むかわ

柳葉魚観音菩薩を建立 シシャモ漁の資源回復願う 永安寺  むかわ
永安寺の境内にお目見えした柳葉魚観音菩薩像

 むかわ町花園の永安寺(石崎紀彦住職)は境内に「柳葉魚(ししゃも)観音菩薩」の仏像を建立し、8日にお披露目された。町では2年連続でシシャモ漁が休漁しており、来賓や一般参加の約50人は手を合わせ、資源の回復を願った。

   柳葉魚観音菩薩は高さ約3・2メートル、重さは約2トン。、三十三観音菩薩に数えられる化身の一つ、魚藍観音菩薩をモデルとした。天の神様が飢饉(ききん)で苦しむアイヌの人たちのために授けた大切な魚がシシャモだったという古い言い伝えに基づき、左手にシシャモの籠を持ち、右手にフクロウを乗せた。仏像の近くにヤナギの木も植えた。同寺によると、制作や法要などの総費用は1000万円以上で、シシャモに関する観音菩薩の建立は全国的に珍しいという。

   石崎住職は2016年ごろ、境内での祭りなど楽しい催しを検討する中、むかわ町を代表するシシャモの観音を作ろうと計画。18年9月の胆振東部地震やコロナ禍の影響で実行できずにいたが、シシャモの漁獲量が減少し続ける中、「形のある物を残したい」と2年前に業者へ制作を依頼。寺の関係者で実行委員会をつくり、建立のために寄付をした人の名前を入れた石柱を近くに設置する予定という。

   同日、除幕と点眼式が行われ、実行委の小坂利政委員長が「観音像がシシャモ復活のシンボル、心のよりどころになってほしい」とあいさつ。来賓の竹中喜之町長も「町として、新たなシシャモの再生の取り組みを進めていく」と述べた。

   最後に、鵡川漁業協同組合が、11月から鵡川の河口付近で実施するシシャモの遡上(そじょう)調査で、8日朝までに約2500匹が捕獲され、前年同時期と比べ2倍の量であることを報告した。

   石崎住職は「長年の思いで柳葉魚観音菩薩像を建立することができた。むかわにシシャモが戻ってほしい」と話した。

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