白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の中核施設・国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)で7、8両日、「アイヌ文化でつながる博物館等ネットワーク(愛称プンカラ)」の研修会が開かれた。所属機関の専門家や学芸員がオンラインを含め92人参加。アイヌ民族への差別的な言動や対応について情報を共有した。
同ネットワークは全国の博物館や美術館など73機関で構成され、アイヌ民族の資料を所蔵する国内の研究機関や資料館と連携し、資料の共同研究などを行っている。
研修会では、ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団の担当者が、民族差別的な言動について報告した。
同財団は4月、差別のない共生社会の実現を目指す「ウアイヌコロ宣言」を発表し、ウポポイ職員向けに対応方針もまとめた。こうした中でも民族差別的な発信はインターネット上で繰り返され、ウポポイの職員にも嫌がらせなどの被害が及んでいる現状を伝えた。対策として相談窓口を設置し、職員間のグループワークで悩みを共有していることを説明。「ウアイヌコロ」はアイヌ語で「互いに敬う、尊敬し合う」という意味で、「多様な価値観が共生する社会の実現を目指すことが差別をなくすことにつながる」と訴えた。
町内から参加した学芸員の男性(41)は「自分の振る舞いを振り返る貴重な機会になった」と話していた。