聴力検査 苫小牧市保健センター臨床検査技師 千葉雄太

聴力検査
苫小牧市保健センター臨床検査技師 千葉雄太
聴力検査室

 今回は健康診断における聴力検査の必要性、聴力検査の内容について述べさせていただきます。聴力低下が発生すると円滑なコミュニケーションが図りにくくなりますので、耳の疾患や聴力低下の早期発見が大切になります。

   聴力低下の原因は病気や年齢、騒音環境下での長時間活動などがあります。いったん聴力低下が起こってしまうと元の聴力の状態に戻ることは難しく、完治する可能性は低くなります。聴力低下は日常生活における会話やテレビの音量等で自覚することが多く、その時には既に症状が進行していることもあります。

   健康診断で聴力検査を行うことにより、聴力低下の早期発見、早期治療や予防につながります。聴力低下が認められた場合は、補聴器の使用や生活環境の改善など医師の指示に従いましょう。

   次に聴力検査についてお話しします。ハスカッププラザでの聴力検査は選別聴力検査を採用しています。選別聴力検査とは1000ヘルツの音域で30デシベルの音量、4000ヘルツの音域で40デシベルの音量に対して聴力低下が起こっていないかを検査します。

   ヘルツやデシベルは日常生活では聞き慣れない言葉かと思います。ヘルツは音の高低を意味しており、数値が低いと低い音となり、数値が高いと高い音となります。一般的に1000ヘルツは日常会話等が該当し、4000ヘルツは鳥のさえずりや赤ちゃんの泣き声などが該当します。

   日常会話に該当する1000ヘルツを測定する意義はイメージしやすいと思いますが、4000ヘルツを測定する意義は、人間の聴力低下は加齢などにより4000ヘルツの高音域から始まることが多く、聴力低下をいち早く見つけることができるためです。

   デシベルは音量を表します。数値が大きくなればなるほど音量が上がります。一般的に30デシベルはささやき声、日常会話は60デシベルほど、犬の鳴き声などは90デシベルほどとなります。40デシベルほどの音量が聞こえにくくなると、聴力低下が疑われます。

   聴力検査はヘルツとデシベルの要素を持って聴力低下が起こっていないかを判断します。また、長時間騒音下で仕事や活動をしている人は選別聴力検査ではなく、労働安全衛生法に記載されている詳しい検査である閾値聴力検査を実施します。

   検査方法は1000ヘルツの音域で30デシベルの測定は変わりませんが、4000ヘルツの音域は25デシベルと30デシベルを聞こえるか検査します。検査音が聞こえたら検査終了ですが、聞こえない場合は、250ヘルツ、500ヘルツ、1000ヘルツ、2000ヘルツ、4000ヘルツ、6000ヘルツ、8000ヘルツの音域に対してどれくらい聞こえているか検査を行います。

   聴力検査はなぜ必要か、皆さまに知っていただく機会にしていただければ幸いです。