今回は心電図についてです。心臓の電気的活動を波形として記録する検査です。心臓はポンプのように収縮と拡張を繰り返し、体全体に血液を送る大変重要な臓器です。収縮と拡張を繰り返す時に微小な電気が心臓の筋肉から発生します。この電気信号を体の表面で感知して、波形として記録したものが心電図検査です。
健診では、ベッドにあおむけになり検査をする安静時心電図検査が行われます。心電図検査では、不整脈、心臓の肥大・拡大、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)など、心疾患の発見に役立ちます。
不整脈には脈が不規則になる状態や、脈が速くなる頻脈、脈が遅くなる徐脈などがあります。脈が不規則になるものの一つに期外収縮があります。心臓の洞結節というところで、収縮、拡張を行うように命令を出しますが、期外収縮は洞結節から命令が出るタイミングよりも前に、心臓の他の場所から命令が出てしまいます。
脈が飛ぶ、一瞬だけドキッとするなど症状が出る場合もあります。不整脈は治療の必要のない経過観察でよいものから、すぐに治療を始めなければいけない危険なものまで、さまざまです。
虚血性心疾患は、心臓の周りにある冠動脈という血管が細くなったり、閉塞したりすることで心筋が酸素不足や栄養不足になる疾患です。虚血性心疾患は心筋梗塞と狭心症に分けられます。
狭心症は、動脈硬化で血管が細くなり、心筋への血流が少なくなります。心筋梗塞は冠動脈にできた血栓により、心筋への血流が途絶えた状態です。心筋への血流が途絶えるとその部分は壊死して心機能は低下し、心筋への酸素不足で、突然死に至る場合もあります。
日本人の死因第1位は悪性新生物(がん)、第2位は心疾患です。心疾患のリスクを高める動脈硬化は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や喫煙、ストレスが原因となる場合があります。このため予防するには、日々の生活習慣を整えることが大切です。
健診は生活習慣病をはじめ、病気の早期発見、早期治療につながり、健康の維持に必要なものです。定期的に健診を受けましょう。健診の安静時心電図検査は記録時間が10秒程度と短いので、精密検査の判定の場合には、安静心電図検査では見られない変化を見るために、24時間心臓の状態を記録するホルター心電図検査や、心臓に負荷を加え異常を見つける運動負荷心電図検査もあります。循環器内科を受診し、詳しい検査を受けてください。