みんなの学校をつくる会 中 児童たちの不安減らしたい 新しい学校知る機会を

みんなの学校をつくる会 中 児童たちの不安減らしたい 新しい学校知る機会を
ざっくばらんに意見を交換する「みんなの学校をつくる会」=10月中旬

 ▽学校の違いによる差

   安平町の町民が主体となって新しい学校づくりに活動する「みんなの学校をつくる会」。その会合が10月中旬、町役場総合庁舎内で開かれた。参加者が自由に発言できる場で、1人の女性が声を上げた。「後から早来学園に通い始める安平、遠浅小学校の子どもたちが新たな環境になじみやすいように、三つの小学校の児童が今の段階で集まって、一体感をつくるようなことを何かできないか」―。

   早来地区に来春開校する小中一貫の義務教育学校「早来学園」の校舎は早来小学校の隣接地に建てられ、早来小、早来中学校の児童生徒は来年1月に始まる3学期から新しい校舎で学ぶ。一方、安平、遠浅両小学校の児童たちは来年3月末の閉校までそれぞれの学校で過ごし、春になってから通う。

   通う学校は同じでも、通い始める時期は違うので、「転校生感覚にならないようにケアするなど、新しい学校生活が始まる前に不安を減らしてあげたい」という思いがあるのだ。

   ▽不安の解消を

   安平、遠浅小は、児童数こそ多くないが、地域住民や保護者が学校の行事に参加している。学習環境はアットホームで、地域の特色を最大限に生かして独自教育を創り出してきた。長い年月で築かれた両校の伝統は今後も受け継がれていくのが理想だが、すべてをくみ取り、実現させていくのは難しい。

   さらに、新しい学校については、創造的な校舎の造り、インターネットでの予約システムやセキュリティー管理といった情報通信技術(ICT)の整備、一般町民も学校施設を利用できる環境など、充実した施設や教育プランがたびたび発信されてきたが、ソフト面にはあまり言及されてこなかった。明るい話題ばかりが先行して提供されたことから、遠浅小では昨年、閉校するという町の決断に対して地域や保護者から、延期を求める声が寄せられた。

   その後、一定の理解を得た形にはなっているが、子どもたちの新しい学校生活に対する保護者の不安や疑問が本当に解消されたのかは不透明だ。

   ▽新しい学校を知って

   これらの経緯を経て、「みんなの学校をつくる会」の会合で出た意見が「後から合流する安平、遠浅小の児童が不安にならないよう、移動してくる前に新しい学校を知る機会をつくっては。”自分たちで学校をつくり上げるんだ”というわくわく感を、子どもたちに持たせたい」というものだった。

   町教育委員会では意見に応じ、児童が新しい学校になじむための機会をつくることについて検討中。担当者は「寄せられた声を聞きっ放しにはしない。子どもたちに対して返事をし切れていない部分もあるので、しっかり対応していきたい」と説明する。

   新しい学校の開校まで約4カ月。それまでにやれることはまだまだありそうだ。