▽開校へ準備進む
安平町早来地区に来年4月に開校する小中一貫の義務教育学校「早来学園」の校舎が今秋、ようやくお目見えした。町教育委員会の資料を見ると、そこには従来の学校の校舎のイメージを大きく変えるような空間が広がっている。
建物は高窓から光が降り注ぐ造りで、教室や各教科の専用教室は広々としている。地域住民にも開放する図書室も非常に広く、二つ用意するアリーナ、音楽室、アトリエ、キッチンなどは子どもと地域がシェアできる場所になる。25日には一般にお披露目される予定で、わくわくする校舎の全貌を一足早く見る絶好の機会となる。
▽構想の実現へ
早来学園は、地域の一員として生きながら、自ら考え、仲間と協力し、最も適切と思われる答えを見いだして地域や社会のために行動を起こす―そんな子どもたちを育てていく場所と考えられている。
コンセプトは「自分が”世界”と出会う場所」。11月末に厚真町で行われたオンライン座談会(胆振総合振興局など主催)で事例発表した早来小学校の網代健男教頭は、早来学園の構想をこう語った。
ここでいう世界は国ではなく、人との出会いや自然や文化などを指し、さまざまな考えや価値観に触れて視野を広げる場にするということだ。
ただ、「学校だけで実現していくのは難しい」とも語った。学校をサポートする手立てとなるのは、一町民が「地域先生」となるふるさと教育や、学社融合の推進、町独自の「あびら教育プラン」。ほかに、学校運営協議会、近隣のはやきた子ども園といった地域資源をフル活用し、子どもたちが成長する環境を整えていくこともある。さらに町教委は来春、地域プロジェクトマネジャー(子育て・教育総合専門員)を新たに採用し、体制をより充実させていく方針だ。
▽未来へのチャレンジ
学校の主役は、何と言っても子どもたち。早来地区の3小学校と早来中学校の閉校、統合で生まれる新しい学校「早来学園」に興味津々だ。「クラス替えはあるの」「先生たちはどうなるの」「(隣接する)丘が崩れたら学校は大丈夫なの」とこれまでにない期待と不安を抱えている。
早来中2年の三上明紗さん(14)は「(早来学園の1期生に)誰でもなれるわけではないのですごく光栄なこと」とし、「教室も広いと聞いているし、今までなかった教室もあると聞いている。楽しみ」と心待ちにしているよう。
胆振東部地震から4年がたち、5回目の冬を迎えている。厳しい寒さの後には春がやって来るように、未来を担う子どもらを中心にまちの人々にも希望が広がるよう、教育をまちづくりの柱とする安平町の新たなチャレンジが注目される。
(本企画の四つのシリーズは胆振東部支局・石川鉄也が担当しました)