救済新法が成立 悪質寄付勧誘に刑事罰―臨時国会閉幕

救済新法が成立
悪質寄付勧誘に刑事罰―臨時国会閉幕

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた被害者救済新法は、10日の参院本会議で自民、公明両党と立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。宗教法人などの悪質な寄付勧誘を規制。違反に刑事罰を科すことで被害防止を図る。

 共産党とれいわ新選組は反対した。霊感商法の契約取り消し期間を延長する改正消費者契約法、改正国民生活センター法も採決され、成立した。

   岸田文雄首相は10日の記者会見で、新法に関し「与野党の垣根を超えた圧倒的多数で成立させることができた。制度を利用しやすい環境整備に全力を傾ける」と語った。

 土曜日に国会審議が行われるのは異例。衆参両院事務局によると、1994年1月の政治改革関連法が成立した参院本会議などの例に限られる。第210臨時国会は会期を延長せず閉幕した。

 新法は、法人・団体の寄付勧誘に際し、霊感で不安をあおり、寄付が必要不可欠と告げるなど、6類型の行為で「困惑」させることを禁止。借金や住居の売却、生活維持に欠くことのできない事業用資産の処分による寄付要求も禁じた。

   国は、法人などに必要な報告を求め、禁止行為の停止を勧告・命令できる。虚偽報告は50万円以下の罰金、命令違反は1年以下の拘禁刑や100万円以下の罰金を科す。

 不当な勧誘による寄付について、最長10年間は取り消しを認める規定を設けた。被害者の子や配偶者が将来受け取るべき生活費などの範囲内で、取り消し権や返還請求権を行使できる。

   また、法人などに対して(1)個人の自由な意思を抑圧し、適切な判断が困難な状態に陥らせない(2)個人や家族の生活維持を困難にさせない(3)寄付勧誘する法人を明らかにし、使途を誤認させない―の3項目の配慮義務を課した。

 野党側の主張を踏まえ、配慮義務を怠った場合は、必要な措置を勧告し、法人名を公表する規定を追加。施行後2年をめどに見直す規定も盛り込んだ。

   本会議に先立つ参院消費者問題特別委員会では、政府に配慮義務の具体例を示して周知することなどを求める付帯決議が採択された。