国難さなか、一筋の光―アルゼンチン 36年ぶりW杯優勝で国民歓喜―惜敗のフランスはがっかり

国難さなか、一筋の光―アルゼンチン
36年ぶりW杯優勝で国民歓喜―惜敗のフランスはがっかり
 日、ブエノスアイレスで、サッカー・ワールドカップ(W杯)のアルゼンチン優勝を喜ぶ人々(AFP時事)

 【サンパウロ、パリ時事】アルゼンチン国民が待ちに待ったサッカー・ワールドカップ(W杯)優勝だった。同国は失政による財政悪化で2020年に債務不履行(デフォルト)に陥り、政府は対外債務再編に追われ国民生活は置いてきぼりに。11月のインフレ率は92・4%に達し、暮らし向きは悪化の一途をたどっているだけに、36年ぶりの優勝は苦境にある人々に差し込む一筋の光となった。

 首都ブエノスアイレスでは18日、数十万人の市民が街頭に繰り出した。幼い娘や母親と共に勝利を祝った38歳の女性は、地元紙ナシオンに「優勝は幸せと誇りをもたらした。アルゼンチン代表は仲間意識と、逆境に立ち向かう姿勢を示した」と喜びを語った。

 1次リーグ初戦で格下サウジアラビアに負け、「優勝は難しい」とささやかれた中での栄冠。フェルナンデス大統領は「選手とコーチ陣に感謝する。彼らは諦めてはいけないということ、われわれには素晴らしい国民と輝かしい未来があることを見せた」と述べ、国の行く末を重ねて国民を鼓舞した。

   一方、連覇に向け激しい追い上げを見せたものの、PK戦の末に敗れたフランスでは、ファンから落胆の声が上がった。パリの飲食店で決勝をテレビ観戦した女性(17)は「フランスを応援していたのに、負けてがっかり」と肩を落とした。同じ飲食店にいた20代の男性は「後半から勢いが出てきたが、勝利できず残念だった」と語った。