アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン暫定政権は20日、大学での女子への教育を停止すると発表した。昨年8月に実権を掌握したタリバンは女子の中等教育学校への通学を禁じる一方、大学で学ぶことは認めていた。教育からの女性排除をさらに進めた形で、国際社会からの反発が一層強まるのは必至だ。
暫定政権のナディーム高等教育相は20日付で発出した書簡で「追って通知があるまで、全ての大学で女子への教育が停止される」と記した。
発表を受け、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチはツイッターで「女性の教育を受ける権利を侵害する恥ずべき決定」と非難した。国連安保理では発表時、アフガン情勢を巡る定例の会合が開かれており、ウッドワード英国連大使は「女子学生一人一人に深く甚大な失望を与えるものだ」と糾弾した。
米国務省のプライス報道官も、記者会見で「最も強い言葉で非難する」と表明。決定はタリバンに「重大な結果」を及ぼすと述べ、責任を追及する構えを示した。
プライス氏は一方、タリバンがアフガンで拘束していた米国人2人を解放したと明らかにした。名前などの詳細には触れなかったが、米側も拘束者の解放に応じる「囚人交換」は行われなかったという。
タリバンは政権復帰以降、極端なイスラム法解釈に基づき、近親男性を伴わない遠出を認めないなど女性の権利を制限。最近はさらに厳格化し、女性に対し公園や公衆浴場などへの立ち入り禁止や、労働許可証を得なければ就労を認めないといった措置を相次いで打ち出している。