岸田文雄首相は23日、「政治とカネ」の疑惑を抱える秋葉賢也復興相を早期に交代させる方向で調整に入った。自民党幹部が明らかにした。早ければ来週前半に人事を行う可能性があり、来年1月上旬に小幅の内閣改造に踏み切る案も取り沙汰される。同月に召集される通常国会での予算審議を前にした事実上の更迭となる。人事の時期や規模を判断する。
政権幹部は23日、「秋葉氏は代わるだろう」と語り、自民党幹部は「タイミングは首相の判断だ」と指摘した。公明党の山口那津男代表は記者団に「首相にお任せしたい」と述べ、首相の意向を尊重する考えを示した。
首相は同日、一部閣僚の交代や内閣改造について「考えていない」と述べるにとどめた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
秋葉氏は衆院比例代表東北ブロック選出の当選7回。自民党茂木派に所属する。秘書が昨年の衆院選で選挙運動の報酬を受け取っていた公職選挙法違反の疑いや、自身が代表を務める党支部が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体に「会費」を支出していた問題などが相次ぎ判明。野党が先の臨時国会で辞任を求めた。
首相は続投させたものの、通常国会で秋葉氏が再び野党の追及を受けるのは確実。10~11月の3閣僚辞任は政権に痛手となった。来年4月の統一地方選や、同時期に行われる可能性のある衆院補欠選挙を控え、交代を求める声が出た。
自民党内では、体調不安を抱える谷公一国家公安委員長の交代を含めた小幅改造になるとの見方もある。過去の差別的言動が問題視された杉田水脈総務政務官の扱いも注目点だ。
ただ、内閣改造は今年8月に実施したばかり。薗浦健太郎元衆院議員(自民党離党)がパーティー収入の過少記載問題で辞職に追い込まれた直後でもあり、新たに起用した閣僚に不祥事があれば首相への打撃は避けられない。このため、政権内には小幅改造に対して慎重論も根強い。