厚生労働省は26日、医師が発行する処方箋を薬局とオンラインで共有する「電子処方箋」の運用を開始した。患者がどんな薬を服用してきたのかチェックできるようになり、処方ミスや複数の病院からの重複処方が防ぎやすくなる。紙での発行も継続する。
電子処方箋は、医師が患者の処方情報をオンラインで登録し、薬剤師は画面上で調剤内容を確認する。データは国の専用サーバーで管理され、患者は薬局でマイナンバーカードや保険証を提示することで処方薬を受け取れる。
データの一元的な管理が可能となり、患者が複数の病院で処方箋を受け取った場合でも、薬の重複や飲み合わせの悪い処方を防ぎやすくなる。
患者はマイナンバーの個人向けサイト「マイナポータル」から服用歴を確認できる。オンライン診療や服薬指導を組み合わせれば、自宅にいながら診察から処方まで受けられるようになる。
ただ、電子処方箋の利用は専用システムを導入した医療機関や薬局に限られる。厚労省の15日時点の集計によると、26日から対応可能なのは、30都道府県の計154施設にとどまる見込み。同省は既に約3万施設が申請したとし、「導入意欲の高い病院や薬局を中心に拡大を図りたい」としている。