新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けについて、政府は27日午後、首相官邸で対策本部を開き、大型連休明けの5月8日に現在の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを正式決定した。医療費の公費負担やイベントの規制、マスクの着用ルールなどが順次見直されることになる。国内での感染確認から3年を経て、社会正常化への大きな転機となる。
政府は感染者の医療費公費負担を当面維持し、段階的に自己負担を導入する方針。病院への診療報酬の特例措置なども見直す。いずれも3月上旬に具体的な方向性を示す。ワクチン接種に関しては、必要な場合は公費で負担する。
岸田文雄首相は「家庭、学校、職場、地域のあらゆる場面で日常を取り戻せるように着実に歩みを進めていく」と述べた。医療費については「急激な負担増が生じないようにする」と強調した。
5類への移行に伴い、感染者数は全数把握から、特定の医療機関からの報告に基づく「定点把握」に簡素化される。水際対策での入国者の隔離も行われなくなる。
声援を伴うスポーツやコンサートなどのイベントの収容人数制限も撤廃された。27日から適用され、今後は満席でも大声での応援が可能となる。
マスクについては、屋内外問わず「着用は個人の判断に委ねることを基本」(首相)とし、感染状況を踏まえ、国としての方向性を早期に示す。5月8日より前倒しで見直される可能性もある。
厚生労働省は27日午前、厚生科学審議会の感染症部会を開催。専門家の見解として、新型コロナを「5類に位置付けるべきだ」との結論を示した上で、3カ月程度の準備期間を置くよう求める提言が取りまとめられた。
政府関係者によると、移行時期は4月に予定されている統一地方選を考慮。自治体の準備期間を設け、医療機関の休診の多い大型連休を避けた上で決定した。
感染症法では、症状の重さや感染力の強さに応じ、感染症を1~5類に分類している。5類になると、入院勧告や医療費の全額公費負担、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」などの対策に関する法的根拠が失われる。