全国で相次ぐ強盗事件の指示役とみられ、特殊詐欺グループ幹部だった渡辺優樹容疑者(38)が、日本国内でメンバーがだまし取った金を交際相手に回収させ、滞在先のフィリピンまで現金で運ばせていたことが1日、捜査関係者への取材や裁判資料などで分かった。
警視庁は、フィリピンで拘束中の渡辺容疑者らグループ幹部の4人について窃盗容疑で逮捕状を取得し、身柄の引き渡しを求めている。
裁判資料などによると、現金を運んでいたのは当時渡辺容疑者の交際相手だった女(32)。2019年に少なくとも7回フィリピンに渡航し、1回数千万円の現金を同国に持ち込んでいた。
同年3月にマニラを訪れた際、知人から紹介された渡辺容疑者と交際するようになり、グループに合流。追跡されにくい通信アプリ「テレグラム」を使って日本国内にいるメンバーと連絡を取り、グループがだまし取った金を集金していた。
グループは18年11月~20年6月、計約35億円を詐取したとみられている。
女は19年11月、岐阜県の80代女性からキャッシュカード3枚を盗んだとして、大阪府警などに窃盗容疑で逮捕された。20年10月に懲役4年6月の実刑判決を言い渡され、確定した。
渡辺容疑者らは「ルフィ」などと名乗り、収容先のフィリピンの入管施設から強盗の実行役に指示を出していたとみられている。
一方、警視庁は1日、昨年12月に発生した東京都中野区の強盗事件を巡り、強盗傷害などの疑いで、職業不詳西本佑聖容疑者(22)=大阪市城東区諏訪=を逮捕し、自営業真栄城健容疑者(31)=仙台市=を再逮捕した。同容疑者は昨年10月の稲城市の事件で、強奪品を買い取り店で売却した疑いで逮捕されていた。これで中野の事件での逮捕者は計7人となった。