法制審議会(法相の諮問機関)の戸籍法部会は2日、戸籍の氏名に読み仮名をカタカナで記載する戸籍法改正案の要綱案をまとめた。漢字本来の読み方と異なる「キラキラネーム」の命名では一定のルールを策定する。今月中旬の法制審総会で正式決定し、斎藤健法相に答申する。政府は今国会に改正案を提出し、2024年度中の新制度開始を目指す。
現行の戸籍法には読み仮名に関する規定がない。戸籍には読み仮名が記載されず、行政機関が保有する氏名データは大半が漢字だ。仮名も記載した方が効率的にデータベース化できるため、部会は21年11月から議論を続けてきた
法務省は昨年10~11月、全国5000人を対象にウェブアンケートを実施。(1)読み方を制限しない(2)公序良俗に反しなければ認める(3)通常用いられる音訓は認める(4)漢字の本来の音訓のみ認める―の4案について聞いたところ、賛成は(2)と(3)が多かった。
これを受け、部会で「規定を設けず公序良俗の一般原則による」(甲案)と、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものとする規定を設ける」(乙案)の両案を議論。アンケートで最も賛成が多かった(3)に近い乙案が採用された。
同省によると、実際の運用では、辞書に掲載されている読み方は幅広く認めた上で、キラキラネームは届け出人に説明を求めて判断する。
例えば、「高」を「ヒクシ」として漢字と反対の意味になる▽「太郎」を「ジロウ」として漢字の書き違いかどうか判然としない▽「太郎」を「ジョージ」として漢字の意味、読み方から連想できない―命名は認めないことを想定している。すでに戸籍に記載されている名前は、一般の読み方以外でも認める。
要綱案は、既に戸籍に記載されている人は施行日から1年以内に届け出ることを求め、届け出がない場合は市区町村長が職権で読み仮名を記載することも盛り込んだ。