首相、裏金議員の処分指示―自民党大会 信頼回復へ「厳しく対応」―不記載額・役職歴など勘案

首相、裏金議員の処分指示―自民党大会
信頼回復へ「厳しく対応」―不記載額・役職歴など勘案

 自民党は17日、第91回党大会を東京都内のホテルで開いた。岸田文雄首相は党総裁として演説し、派閥の裏金事件について「国民に心からおわびする」と陳謝。関係議員の処分について結論を得るよう茂木敏充幹事長に指示したと明らかにした上で、「厳しく対応していく」と表明した。

 首相は「国民から多くの疑念を招き、深刻な政治不信を引き起こしている」と指摘。「政治の信頼回復に向け、私自身が先頭に立って党・政治改革を断行する」と語った。

   事件の関係議員に対しては「説明責任を貫徹すべく引き続き促す」と説明。処分の対象や重さは、政治資金収支報告書への不記載額、これまでの役職・議員歴、説明責任の果たし方などを総合的に勘案して判断する方針を示した。

 茂木氏は党務報告で「早期に厳正な対応を取っていく」と強調。大会後、記者団に「一律に全員同じにはならない。上に甘くて下に厳しい組織であってはならない」と主張した。

   党規律規約は「党則順守の勧告」から「除名」まで8段階の処分を定める。党内には重い処分を求める声がある一方、判断次第では安倍派元幹部らの反発を招きかねず、難しい判断を迫られそうだ。

 首相は演説で、処分と並ぶ課題として政治資金規正法改正を挙げ、「今国会で実現する」と明言。自身や党幹部が全国を回り、党員らとの「政治刷新車座対話」(仮称)を進める方針も示した。

 4月の衆院3補欠選挙に向け「全力で戦い抜く」と訴え、「憲法観も安全保障観もバラバラの野党に任せるわけには絶対にいかない」と述べた。

 また、能登半島地震の復興に向け「できることは全てやる」と約束し、賃上げの動きに触れて「日本経済は必ず再生する」と話した。憲法改正にも言及し、「総裁任期中に実現するとの思いの下、今年は条文案の具体化を進める」と議論加速に改めて意欲を示した。

 来賓としてあいさつした公明党の山口那津男代表は「連立政権は2012年に政権を奪還して以来、最大の試練に直面している」と危機感を示し、規正法改正案の早期取りまとめを要請した。

 大会では裏金事件を踏まえ、幹事長が政策集団(派閥)に説明責任を果たすことを求められるようにする党則改正を決めた。会計責任者が立件された場合の議員処分を明確化した党規律規約などの改正も報告。「これまでの『派閥』から脱却し、二度と復活させない」とうたった24年の運動方針も採択した。