大リーグ機構が調査開始 大谷元通訳の違法賭博疑惑で 米大リーグ 急成長のスポーツ賭博

大リーグ機構が調査開始 大谷元通訳の違法賭博疑惑で 米大リーグ 急成長のスポーツ賭博

 【ニューヨーク時事】米大リーグ機構は22日、ドジャースの大谷翔平選手の通訳を務めていた水原一平氏が違法なスポーツ賭博に関与したとされる問題について、同日に正式な調査手続きを開始したと発表した。

   米メディアの報道によると、水原氏は違法賭博の疑いで捜査を受けているブックメーカーと取引があり、ブックメーカー側には大谷選手の口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が送金されていた。水原氏は大谷選手本人の賭博行為を否定。大谷選手の代理人は「巨額の窃盗被害」に遭ったと主張している。

   ブックメーカーの男性の代理人を務める弁護士は22日に取材に応じ、男性は「大谷選手とはいかなる接点もなく、水原氏としか連絡を取ったことはない」とした。

   【ニューヨーク時事】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の通訳を務めた水原一平氏が、違法スポーツ賭博に関与してチームを解雇された。過去に球界を揺るがす八百長事件を経験し、ギャンブルと距離を置いてきた大リーグだが、スポーツ賭博産業の拡大に伴い、近年は変化が見られる。

   米国ではラスベガスにカジノが集中するネバダ州などでのみ、勝敗などが対象のスポーツ賭博が認められていたが、2018年5月に規制する連邦法を米連邦最高裁が違憲と判断。スポーツ賭博を禁止するかどうかは各州に委ねられ、税収増への期待を背景に合法化の動きが広がった。

   カジノ業界団体の米国ゲーミング協会によると、現在は38州と首都ワシントンでスポーツ賭博が合法。一方、ドジャースが本拠地を置くカリフォルニア州は現在もスポーツ賭博を禁じている。

   大リーグ機構は他のプロスポーツ団体と同様、当初は賭博の合法化に反対の姿勢を示していた。ただ、違憲判断後の18年11月には、カジノ運営大手MGMリゾーツ・インターナショナルとのスポンサー契約を発表。スポーツ賭博関連会社とも契約し、急成長する産業との関わりを強めている。

   一方、大リーグでは1919年に選手が八百長に手を染めた「ブラックソックス事件」が発生。89年には、現役時代に通算4256安打の歴代最多記録を打ち立てたピート・ローズ氏の野球賭博関与が発覚し、永久追放処分となった苦い過去もある。

   オフにプロスポーツ史上最高とされる総額7億ドル(約1064億円)でドジャースと10年契約を結び、大リーグの看板選手の地位を確立した大谷を巡るスキャンダル。スポーツ団体や選手が賭博に安易に近寄れば、競技の根幹やスター選手の価値を損ねかねない懸念もあることを今回の一件は浮き彫りにしている。