北朝鮮、衛星打ち上げ失敗 飛行中に爆発、ロケットエンジン原因か―政府、Jアラート発出

北朝鮮、衛星打ち上げ失敗
飛行中に爆発、ロケットエンジン原因か―政府、Jアラート発出

 北朝鮮は27日夜、北西部・東倉里の「西海衛星発射場」から、偵察衛星を搭載したロケットを打ち上げた。朝鮮中央通信によると、第1段階の飛行中に爆発、失敗した。ロケットのエンジン部分に原因があったという。林芳正官房長官は記者会見で「北朝鮮が衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行した」と発表。その上で「黄海上空で消失し、宇宙空間への物体の投入はされてない」と述べた。

 韓国軍によると、北朝鮮は27日午後10時44分(日本時間同)ごろ、東倉里から黄海の南方に向けて「軍事偵察衛星」を打ち上げたが、同46分ごろには海上で多数の破片が探知されたとしている。米韓当局が詳細を分析している。

 日本政府は、沖縄県を対象に避難を呼び掛ける全国瞬時警報システム(Jアラート)を発出。その後、国内には飛来しないとして解除した。林氏は、被害情報の報告はないと説明した。

 岸田文雄首相は(1)情報収集・分析に全力を挙げて国民に迅速・的確に情報提供を行う(2)航空機・船舶の安全確認を徹底する(3)不測の事態に備えて万全の態勢を取る―よう指示した。

 北朝鮮は27日未明、同日午前0時から6月4日午前0時の間に「衛星ロケット」を発射すると、海上保安庁に通告。朝鮮半島西側の黄海の2カ所とフィリピン・ルソン島東方の太平洋上1カ所を危険区域に指定した。北朝鮮が衛星発射に動いた昨年5、8、11月と同じ区域。日本政府は発射を受け、北京の大使館ルートを通じて抗議した。

 韓国・ソウルでは27日午前、日中韓首脳会談が開かれた。韓国の尹錫悦大統領は共同記者発表で「国際社会は断固対応しなければならない」と指摘し、首相は「北朝鮮に強く中止を求める」と強調した。

   防衛省は迎撃対処のための破壊措置命令を昨年5月から継続。東シナ海に海上自衛隊のイージス艦を、沖縄県の那覇、宮古島、石垣の3市と与那国町に航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)をそれぞれ展開していたが、破壊措置は実施しなかった。

 北朝鮮は昨年5、8月に軍事偵察衛星の打ち上げに失敗し、11月の発射で軌道投入に成功したと発表。金正恩朝鮮労働党総書記は12月、2024年中に追加で3基打ち上げると表明していた。