馬産地日胆盛り上げる 7月のサラブレッド競り市 (6) 国内外からバイヤー集結

22日のセレクションセール初日に1億円で落札されたキズナ産駒のスターズアラインド2023

 馬産地胆振、日高の7月は、大きな行事がある。サラブレッドの競り市で、苫小牧市ノーザンホースパークで「セレクトセール」、新ひだか町北海道市場で「セレクションセール」が開催され、毎年1歳馬と当歳(0歳)馬合わせて約1000頭が取引される。国内外から数多くの購買者が集まり、馬産地がにぎわいを見せる時期でもある。

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   今週初めの22日からは、新ひだか町静内の北海道市場で「セレクションセール」が開かれた。北海道には日高、胆振、十勝にそれぞれ、競走馬生産者や育成業者らで構成する軽種馬農業協同組合があり、競り市はその3組合が提携し、公益社団法人日本軽種馬協会の後援で行われている。中心となる日高軽種馬農協は設立から50年以上の歴史を持ち、競り市は古くから、「馬市(うまいち)」と呼ばれ認知されている。新ひだか町では毎年「セレクションセール」を皮切りに、サマーセール(8月)、セプテンバーセール(9月)、オータムセール(10月)が開催される。

   セレクションセールでは今年、初の試みとして初日を「プレミアムセッション」として実施した。”セレクション”の名が示す通り、もともと上場馬を選抜し今年は501頭としていたが、さらにえりすぐりの140頭を初日にまとめ、購買者にPRした。その効果もあって、日本ダービー馬キズナを父に持つ「スターズアラインド2023」(牡1歳、浦河町笠松牧場生産)が1億円で落札された。1億円(消費税抜き)超え価格は、2001年以来23年ぶりとなった。スターズアラインドは母馬名で、23年は生誕年(西暦)。これから競走馬名が決まり、デビューは25年夏以降になる。

   3日間開かれたセレクションセールの初日売り上げは35億9260万円、売却率は94・78%を記録した。先駆けて7月8、9両日に行われたセレクトセールでは2日間で455頭が取引され売却総額は289億1800万円、売却率は96・4%に上った。今年の日本ダービーを制したダノンデサイルはこのセレクトセール出身で、海外からの購買者も集まり、世界一のセールとも評されている。

   セレクションセールでは、産地関係者から「昔は競り前の展示でもぴょんぴょん跳ねて落ち着かない馬もいたが、今はあまり見られなくなった。売る側もきちんと訓練して出してきているよね」との感想も聞かれた。日本の競馬のレベル向上は、馬市の盛り上がりや風景からもうかがい知ることができる。

  (フリーライター・大滝貴由樹)

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