第2の馬生も元気です―。競走馬から乗用馬に転身したサラブレッドが馬術で競う「引退競走馬杯(Retired Racehorse Cup=RRC)」の北海道大会が9月28、29の両日、苫小牧市ノーザンホースパークで行われた。公益社団法人全国乗馬倶楽部振興協会が、引退競走馬のセカンドキャリア形成、人材育成や技術向上、乗馬・馬術のファン拡大などを目的として、全国規模で2018年から始めた。道大会でも競走馬時代に重賞で活躍した馬をはじめ、懐かしい馬たちが元気な姿を見せた。
◇ ◇ ◇
2日間の大会は「障害馬術」と「馬場馬術」の2競技で競われた。20頭が出場した馬場馬術には、あのグランプリホースの姿も…。毎年暮れに行われるJRAビッグレース2018年有馬記念を制したブラストワンピース(9歳、ノーザンホースパーク所属、加藤諒騎乗)も登場し見事に先頭でゴール…、ではなく、最終得点率でトップの数字を出し優勝した。
ブラストワンピースは競走時代18戦5勝、3歳時に制した有馬記念ではダービー馬レイデオロ、ジャパンカップ覇者シュヴァルグランなどを破ってのG1勝ちだった。このレースを含め重賞5勝。4歳時には世界最高峰レースの一つ、フランス凱旋門賞にも挑戦した。怪我のため2022年1月に引退し、乗馬としてノーザンホースパークで再出発した。ふだんは訪れるファンや観光客と触れ合い、競技にも出場している。
馬場馬術2位には19年毎日杯を勝ったランスオブプラーナ(8歳、BTC軽種馬育成調教センター所属)、3位には19年京阪杯を勝っているライトオンキュー(9歳、JRA札幌競馬場所属)が入った。ライトオンキューは昨年夏の札幌競馬開催で誘導馬(※)としてデビュー。同競馬場には現在12頭の誘導馬がいる。担当者は「今後札幌競馬場の顔になってくれると思います」と”本業”での期待が大きい。
28日の障害馬術には25頭が参加し、クラヴィスオレア(8歳、モモセライディングファーム所属、百瀬光騎乗)が1位だった。2日間で、18年G1フェブラリーSの優勝馬ノンコノユメ(12歳、社台ファーム)、21年金鯱賞馬ギベオン(9歳、社台ファーム)、22年小倉大賞典馬アリーヴォ(6歳、モモセライディングファーム)、19年菊花賞2着サトノルークス(8歳、ノーザンファーム)などが登場した。頑張る人馬を応援せずにはいられない。
各地での予選を経て、11月29日~12月1日に東京・JRA馬事公苑で全国ファイナリスト大会が開催される。
(フリーライター・大滝貴由樹)
※誘導馬 レース時にパドックからコースまで先導する馬のこと。隊列の前後に就く。