駒大苫5年連続、鵡川5年ぶり 全道へ 秋季高校野球室蘭支部予選 高校野球

Aブロック支部代決〔道栄―駒大苫〕駒大苫延長10回タイブレークでサヨナラ打した渡辺瑛(16)を大喜びで迎えるメンバー=6日、とましんスタジアム

 第77回秋季高校野球大会室蘭支部予選は6日、青空の下、とましんスタジアム(苫小牧市)で代表決定戦が行われた。Aブロックは駒大苫小牧が延長十回タイブレークの末、逆転で北海道栄を5―4、Bブロックは鵡川が4―0で苫小牧中央をそれぞれ下した。駒大苫小牧は5年連続22度目、鵡川は5年ぶり9度目の支部優勝旗を共に獲得し、全道大会(16日開幕、大和ハウスプレミストドーム)に進出する。

   【Aブロック】

   ▽代表決定戦

  北海道栄

    300000000

    010000002

  駒大苫小牧

  1-4

  2X-5

  (延長十回タイブレ―ク)

  (北)日野、川端―橋場

  (駒)寺田、許―北野、渡邊羚

  北海道栄  3336711

         打安振球失

  駒大苫小牧 3448324

   駒大苫が逆転で道栄をかわした。3点を追った二回に1死一、三塁で寺田が右前打して1点。九回2死二、三塁で前打者1ボール後に代打の太田が右前打して同点。1点を追う延長十回1死二、三塁で坂本、渡辺瑛の連打でサヨナラ勝ち。

   道栄は一回に無死満塁で松本の左前打で先制し、暴投と1死後の西田の絶妙なスクイズで3点を奪ったが、中、終盤は追加点を奪えなかった。

  駒大苫 諦めず逆転 九回代打の太田が同点打

   「諦めないところが最後に相手を上回った」。駒大苫の佐々木監督は快活に勝因を語った。「奇跡ですね。1年生がつないでくれて、最後は2年生が決めてくれた」―。

   2点を追った九回2死。二、三塁で2点適時打を放ったのが1年生の代打、太田。再び1点を追ったタイブレークの延長十回、サヨナラ打したのは2年生遊撃手の渡辺瑛だった。監督が日頃から強調する、”長幼の序”による結束力で大接戦を切り抜けた。

   絶体絶命のピンチを救った太田について、佐々木監督は「控えに回っていたが、やってくれた」と褒めた。

   1球目1ボールで勝に代わって打席に送られた太田。初球を逆らわずはじき返した。「外真っすぐを打った。瞬間、ヒットになると思った」と振り返る。公式戦初安打に「チームが負けそうなところで同点に追い付いた。うれしくて」と聡明に場面を振り返った。

   東京出身。駒大苫の夏の甲子園優勝の映像にかねてから憧れていて、学校の門をたたいた。「やりがいがあるし、ここなら成長できる」と信じて勉強、部活に打ち込んできた。道大会では「同じような起用があったら、監督の期待に応えたい」。夏の支部敗退では悔しい思いをかみしめていて、「先輩たちの思いを持って戦いたいです」と語った。

   相手の隙を突く野球の追求を新チームに課してきた佐々木監督だが、逆に隙を突かれ、全力を試合で発揮できない歯がゆさを感じてきた。「この代表決定戦でそこを乗り越えられた。これなら全道で戦える」と手応えを語った。

  一つの与四球明暗分ける 道 栄

   一回に3点を取り、流れをつかんだかのように見えた道栄。投げては先発日野が打たせて取る投球で八回まで1失点に抑え、制球の良さを発揮。しかし、九回には駒大苫の林に四球を許すと、強力打線につかまり、同点とされた。糸瀬監督は「序盤は良かったけれど、中盤で点を取れなかった。九回に同点の走者を出してしまったところが悔やまれる」と話した。

  【Bブロック】

   ▽代表決定戦

  苫小牧中央

  000000000-0

  00100300×-4

  鵡川

  (苫)黒木、渡邉―横山

  (鵡)三浦、住友―大森

  ▽三塁打 前田(鵡)

  ▽二塁打 横山(苫)瀧谷(鵡)

  苫小牧中央282471

       打安振球失

  鵡   川307130

   序盤先行の鵡川が押し切った。三回に先頭の前田が左中間へ三塁打し、2死後に佐々木の内野安打で先制した。六回は1死一、三塁で太田が左前打して追加。続く四球で満塁の2死後、代打した瀧谷が左中間へ2点2塁打して駄目を押した。

   苫中央は三回までの毎回走者得点圏逸機が響いた。七回も走者2人を置きながら鵡川の三浦から住友への継投にかわされた。

  鵡川 決勝勝利は財産 1年生の先発三浦好投

  零封の完勝で締めくくった代表決定戦を終えてから鵡川の小池監督は「このチームは完成途上。一冬越してからのチームとは思っていた。こういう決勝戦で、大勢の人に注目されながら試合ができたことは財産」と感慨深げに語った。

   1点先行で進んだ六回、1死一、三塁に太田の適時打で1点追加し、四球をもらって満塁。2死後に代打で2年生の瀧谷を送って、2点二塁打。「駒大苫の佐々木監督の試合を見ていて、代打起用で直感が働いたのだと思った。自分も同じようなケースで、そうなるとは思っていなかった」。期待に応えた駄目押しの決定打にうなった。

   この試合の土台をつくったのは先発した三浦。直球を低めに投じて苫中央打線を抑えた。「中央には敗れた夏の大会を含めて悔しい思いを持っていた。この試合に勝ちたいという思いでプレーした」と苫啓明中出身の1年生右腕。「きょうは持ち味の真っすぐでしっかりカウントを取れた」と語った。

   3点援護を受けた七回に2死から2与四球し、主将で主戦の住友と交代。「自分としては最低限のことをやって、住友さんにバトンを渡すことができたと思います」と続け、「全道大会は支部予選以上のレベルのチームがそろうはずだから、自分はもっと精度を仕上げて臨み、いいプレーをしたい」との抱負だった。

   抑え役で継投した住友は「ブルペンではいつでもいけるように準備していた。

  絶対に勝つ。中央を倒すという気持ちだった」と振り返る。主将の総括は明快で「今大会は守備が良かった。全道大会に向けて打撃をもっと強くできれば、と思っている」。ドームでの戦いで鵡川の名を存分にアピールする構えだ。

  激闘翌日に零封負け 苫中央

   「安打が出なかったですね」と試合後に渡邊監督は開口一番にこうつぶやいた。前日の準決勝で延長十一回の激闘を制して大谷室蘭を下した苫中央。しかし代表決定戦のこの日は鵡川先発の三浦、救援の住友に安打2本に抑えられ零封負けを喫した。「攻めていたのはうちの方、気持ちですね。気持ちが弱過ぎる」と課題を挙げた。先発した黒木は「この悔しさは絶対に無駄にしない」と雪辱を誓った。

  (5日)

   ▽準決勝

  苫小牧中央

    102000020

    000001310

  大谷室蘭

  02-7

  00-5

  (延長十一回タイブレーク)

  (苫)渡邉、村上―横山

  (大)松本―富山

  ▽二塁打 横山(中)