「バルセロナで豆腐屋になった」/清水建宇著/定年後の冒険で得た宝物
- 2025年3月11日
サグラダファミリアがある国際都市バルセロナに魅了され、定年後に移住した元新聞記者の10年にわたる「2拠点生活顚末(てんまつ)記」である。大好物の日本製とは似て非なる味や食感の現地の豆腐に我慢できず、「自分で作ろう」と豆腐屋開業を思いつく。 人生下り坂からの大転換を決めたのは伊能忠敬の「一身二生」
サグラダファミリアがある国際都市バルセロナに魅了され、定年後に移住した元新聞記者の10年にわたる「2拠点生活顚末(てんまつ)記」である。大好物の日本製とは似て非なる味や食感の現地の豆腐に我慢できず、「自分で作ろう」と豆腐屋開業を思いつく。 人生下り坂からの大転換を決めたのは伊能忠敬の「一身二生」
心理学者が描画テストに使った絵、たわいないブログに投稿された絵、保育園児が描いた絵、殺人事件の現場に残された絵…。異なる年代に描かれたさまざまな絵を通して、一見無関係に思える数々の出来事がつながり、ある恐ろしい事件の存在が浮かび上がるミステリー。覆面作家のベストセラーで、30カ国・地域での翻訳も決
読み進めながら、ここまで自分の視点が変化することを実感できる本と出合うのは初めてである。 本書は、アジア諸国における恋愛文学と言葉遊びの中に浸透する仏教の教えを掘り起こすという斬新な切り口によって、これまでの常識とは異なる仏教の一面を明らかにしている。 各章でインド、中国、韓国、日本、ベトナム
原発稼働の是非を巡り、揺れる司法判断。その背後には、良心と組織統制のはざまで葛藤する裁判官の素顔も見え隠れする。最高裁による人事支配の構図と、その原点にある「判事補再任拒否事件」の影響などを掘り下げ、司法の限界を浮き彫りにする。社会派ジャーナリストが100人超に取材して内実に鋭く迫ったノンフィクシ
主な材料(2人分)豚バラ肉6枚モヤシ½袋ユズ果汁作り方①レンコンは乱切りにして水にさらし、水気を切る②フライパンにマヨネーズ大さじ1を熱し、レンコンを加え炒める。レンコンが透き通ったら、めんつゆ大さじ1を加え、水気を飛ばしながら炒める③火を止め、青のり大さじ1を加えてさっと混ぜ合わせ
渥美清、藤圭子、アントニオ猪木、ケーシー高峰…。時代を彩った29人の死について「大衆文化担当」の新聞記者が語る。亡くなった場所や住んでいた部屋、故郷に足を運び、それぞれの人生の幕の引き方を思う筆致は温かく、どこか寂しい。がんの再発で執筆を思い立ち、生きる意味を探り続けた著者は、本書の編集中に亡くな
食べる卵をテーマに、近年の作家や料理研究家らの随筆36編を集めたアンソロジー。高山なおみら人気の料理家が提案する調理法、角田光代が推す京都の老舗の厚焼き卵サンド、エジプトで幼少期を過ごした西加奈子の最高のごちそうだった卵かけご飯など、改めて「身近だけど替えが利かない」食材の奥深さを味わえる。(中
副題に「音楽批評の試み」とある。すこぶる面白い。そして強く胸に響いた。批評でそこまでの感動を覚えたことがあるだろうか。 本書は「レコード芸術」誌に2020年1月号から23年7月号まで連載された22編を加筆・改題したもので、音楽を「別の視点と交差」させたことに特色がある。著者は複数の旋律が同時に響
長崎県対馬市。約1万5000世帯、人口3万人強が住む島の「JA対馬」で2019年、巨額の横領事件が発覚した。 かねてよりこの事件への関与がうわさされていた正職員、西山義治(当時44)の運転する車が海中へ転落し、西山は溺死した。自殺と断定されたわけではないが、彼の死後、共済金の不正受給の全貌が判明
貧富の格差や排外主義、差別、性暴力から武力紛争まで、人権が脅かされる世界中の多くの問題にビジネスが加担している。国連人権理事会が「ビジネスと人権に関する指導原則」を採択してから14年。企業の責任が厳しく問われるようになった世界の潮流の変化を紹介するとともに、対応が遅れる日本の現状を厳しく問う。(
理想と現実が違うことは、多くの人が身をもって知っているはずだが、それでも未来に向けるまなざしには、願望や根拠のない臆測が入りがちだ。そして人間は、しばしば客観的な情報分析の結果を理性的に論じる者より、自信ありげな断定口調で熱弁を振るう政治家を信頼してしまう。 現実の社会的、経済的なプロジェクトに
家族ミステリーの傑作短編6作を収めたアンソロジー。愛人との間の子どもを捨てる松本清張の「鬼畜」や、一家心中の謎がさまざまな視点で語られる宮部みゆきの「不文律」など名品が並ぶが、白眉は小池真理子の「花ざかりの家」。若い妻を自死で失った男が、15年後にその不倫相手の家に招かれる。美しくも恐ろしい結末が