• 「直木賞を取らなかった男」/新堂冬樹著/読者を楽しませる信条
    「直木賞を取らなかった男」/新堂冬樹著/読者を楽しませる信条

       インパクトあるタイトルにしびれます。「直木賞」といえば現実にあるあの直木賞です。それを「取らなかった」とはどういう意味でしょう。 芸能プロダクションを営む日向誠は、高校中退後、おのれの力で人生を切り開いてきた野心家です。小説を書くぞと思い立ち、街金融の実態を描いた一編を書き上げると、日文社の主催

    • 2025年2月18日
  • 「機嫌のいい犬」/川上弘美著
    「機嫌のいい犬」/川上弘美著

       「はつきりしない人ね茄子(なす)投げるわよ」「C難度宙返りせる春のたましひ」。小説家の著者による1994~2009年の220句を収めた初句集。俳句には小説よりも私性(わたくしせい)が出ると語り、作者も意識しないところまで読み手が言葉の意味を探ってくれるという著者。その「幸福な信頼」に何度も救われて

    • 2025年2月18日
  • CDセレクション/▷ クラシック 井上道義の引退を惜しむ/▷ ポピュラー シャンソンの名曲に挑戦
    CDセレクション/▷ クラシック 井上道義の引退を惜しむ/▷ ポピュラー シャンソンの名曲に挑戦

       「リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェエラザード』」 ▽「リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェエラザード』/井上道義(指揮)、新日本フィルハーモニー交響楽団、崔文洙(ソロ・バイオリン)」 2021年4月のライブ録音。ただただ美しい。カリスマ指揮者の24年の引退が惜しまれる。ソロ・コンサートマス

    • 2025年2月18日
  • ぐるーり/世界の旅/国内編島田市/藤枝市/静岡市/弥次喜多が旅した東海道の宿場町/弥次さん喜多さん旅籠に到着~ /全長897.4㍍  /〝厄なし〟で縁起よし/
    ぐるーり/世界の旅/国内編島田市/藤枝市/静岡市/弥次喜多が旅した東海道の宿場町/弥次さん喜多さん旅籠に到着~ /全長897.4㍍  /〝厄なし〟で縁起よし/

       柏屋の弥次喜多人形蓬莱橋 NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」の主人公、蔦屋重三郎が花開かせた江戸の出版文化。人々は、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」や歌川広重の「東海道五十三次」に旅心をくすぐられたという。令和の世も旅人を魅了する旧東海道の宿場町を巡った。

    • 2025年2月14日
  • 映画「ショウタイムセブン」出演/生見 愛瑠   「リアル感が怖い」
    映画「ショウタイムセブン」出演/生見 愛瑠   「リアル感が怖い」

       「すごくいい緊張感が漂う現場で、勉強になったし、良い刺激になった」と話す生見愛瑠=東京都中央区 サスペンス映画「ショウタイムセブン」=ディノスシネマズ苫小牧で公開中=に、連続爆弾テロ事件に巻き込まれるテレビ局の新人アナウンサー役で生見愛瑠が出演した。「緊迫感が最初から最後まである。生放送っていう軸で

    • 2025年2月13日
  • ジャケット、ワンピースがお薦め 卒業式の子ども服 スカート丈、着心地も確認を
    ジャケット、ワンピースがお薦め 卒業式の子ども服 スカート丈、着心地も確認を

       プリーツの入ったスカートで上品な印象。「組曲」の子ども服 間もなく卒業式のシーズン。制服がある場合は制服でよいが、私服を着るならどのような点に気を付けて選べばよいのか。オンワード樫山(東京都中央区)で子ども服担当のデザイナー、清水智代さんに聞いた。 「きちんとした感じが出る、ジャケットのセットアッ

    • 2025年2月12日
  • 「そばに人が居る尊さ」 松たか子 映画「ファーストキス 1ST KISS」主演
    「そばに人が居る尊さ」 松たか子 映画「ファーストキス 1ST KISS」主演

       松たか子が、ドラマ「カルテット」などでタッグを組んだ坂元裕二脚本の劇映画「ファーストキス 1ST KISS」(塚原あゆ子監督)に主演した。冷め切った関係の夫を事故で失った主人公が過去へさかのぼり、15年前の夫と出会う。坂元が松にあて書きした役で、脚本を読み「時空を行き来するとか、なんか落ち着きのな

    • 2025年2月11日
  • 「軽いめまい」/金井美恵子著
    「軽いめまい」/金井美恵子著

       舞台は1990年代の東京・世田谷。分譲マンションで暮らす専業主婦の夏実は、蛇口から流れる水を見詰めるとめまいを覚える。幼い息子2人は健やかで、夫との関係も良好。豊かで満ち足りた生活で揺らぐ自意識を、乾いた筆致で捉える。単行本刊行は97年で、2023年に英訳され欧米で評判を呼んだ。(講談社文芸文庫

    • 2025年2月11日
  • 「父のビスコ」/平松洋子著
    「父のビスコ」/平松洋子著

       父が病床で最後に欲し、うれしそうにぼりぼりとかじった昭和のビスコの味。平成の末に故郷の岡山を襲った豪雨の衝撃と、かつて聞いた明治生まれの祖父母の戦争の話が、自然とつながっていく感覚。国内外の食文化を扱ったエッセーで定評のある著者が、岡山・倉敷の風土を軸に3世代の記憶をたどる自伝的随筆集だ。読売文学

    • 2025年2月11日
  • 「京都占領」/秋尾沙戸子著/空間と歴史の絡み
    「京都占領」/秋尾沙戸子著/空間と歴史の絡み

       戦後80年になる現在、「占領時代」というのは忘れられたテーマだろう。日本全土が連合国軍の占領下におかれ、部隊が配置されていた。その過程で多くの公文書が作成され、日米の文書館を探ればその実態が分かる。各地で今も続けられている占領期の研究の成果が本書である。 京都の占領について最初の究明を行ったのは

    • 2025年2月11日
  • 「怪物たちの食卓」/赤坂憲雄著/喰い、喰われる存在
    「怪物たちの食卓」/赤坂憲雄著/喰い、喰われる存在

       「食べちゃいたいほどかわいい」という愛と呪縛のささやきは、もっぱら男から女に向けられるものらしい。一方で、女から男へ向けられる愛と怨念のささやきでもある―と以前「性食考」を書いたこともある赤坂憲雄は始める。とすると、男が主、能動で非対称というのだろうか。 食べるとはどのような行為か。飲み込む。吸

    • 2025年2月11日
  • 「美術館・博物館の事件簿」/島田真琴著/展示の裏側にあるもの
    「美術館・博物館の事件簿」/島田真琴著/展示の裏側にあるもの

       美しい絵や貴重な文化財が陳列される美術館・博物館。その展示の陰で何が起きているのかなと思ったことはないだろうか。本書は、国際商取引やアート関係の法律に精通する弁護士が、16件のアート関係の法廷闘争を解説。各国の法律や文化・歴史的背景、解決までのプロセスを掘り下げる。 例えば20年ほど前、米国の有

    • 2025年2月11日
  • ぐるーり/世界の旅/海外編/イタリアナポリポンペイ/火山噴火で滅びた古代都市
    ぐるーり/世界の旅/海外編/イタリアナポリポンペイ/火山噴火で滅びた古代都市

       地震と火山が多い日本と無縁とは思えない街、ポンペイを見たくて、南イタリア・ナポリに飛んだ。約2000年前、ベスビオ山の噴火によって一夜にして火山灰に埋もれた古代都市。18世紀に発掘調査が始まり、1997年に世界遺産に登録された。❖  ❖  ❖ イタリア第三の都市、ナポリから電車で約30分。入場

    • 2025年2月7日