三つの活火山 支笏湖景観つくる 風不死岳、恵庭岳、樽前山

三つの活火山 支笏湖景観つくる
風不死岳、恵庭岳、樽前山
風不死岳の山頂付近からの眺め

 支笏洞爺国立公園内の支笏湖は約4万6000年前の支笏火山大噴火によってできたカルデラ湖です。そして現在はカルデラ形成後に誕生した三つの活火山に囲まれています。4万年前の噴火で誕生した風不死岳、2万年前の恵庭岳、9000年前の樽前山です。支笏火山による支笏カルデラの形成とその後の三つの火山活動が今の支笏湖の景観をつくりました。

   現在の支笏湖の地形を説明する上で欠かせない三つの活火山は、登山を趣味とする私にとっては、心身をリフレッシュさせてもらえる大事な場所です。私は毎年、数回登山しています。

   3山の中で火山活動が一番活発な樽前山は、現在気象庁が発表している火山活動を示す指標の「警戒レベル1」です。私は火山情報を確認しながら登ります。外輪山から溶岩ドームを見ると勢いよく噴煙が上っている姿が目に飛び込んできて、恐ろしいほどの迫力に圧倒されます。

   恵庭岳は、7合目以上の登山道から爆裂火口を間近で見られるようになります。爆裂火口内部の数カ所から水蒸気が噴き上がっています。その周囲から落石音が周囲に響くこともあり、その荒々しい様子に驚きます。

   そして風不死岳。溶岩ドームもなく、爆裂火口もない山は見た目で火山とは言いづらいですが2007~09年の調査により、直近では8500年前にマグマ水蒸気噴火、4500年前に水蒸気噴火があったことが分かりました。

   気象庁が過去1万年以内に噴火した火山を活火山と定義したことを受け、風不死岳は11年、「樽前山・風不死岳」として一つの火山に認定されました。火山の面影が無くても、登山の楽しみはあります。夏は森林浴、冬は銀世界の登山。そして頂上からの壮大な景色を堪能できます。

   11月28日、そんな風不死岳の北尾根コースを登ってきました。6合目より上は雪があり、登山靴にチェーンスパイクを付けての登山でした。今季初の冬山登山だったので、緊張しながら慎重に登っていました。上がる息を整えようと見上げたとき、自分の目の前に美しい樹氷が広がっているのに気が付きました。自分だけで見るのはもったいないと思いました。支笏湖の山々は普段見られない景色を見せてくれます。

   その日にとても不思議なものを見ました。風不死岳の頂上付近に、ぽっかり雪解けの場所があったのです。そしてその場所は他よりも暖かく湿気もありました。これは地熱が出ていたのでしょうか。疑問が深まっています。

  (支笏湖ビジターセンター自然解説員 吉田香織)