屋内ゴルフスクール駅ごる苫小牧代表 大村 和彦さん(48) 競技の裾野広げたい ゴルフを「誰でも楽しめるスポーツ」に

苫小牧市に移住し、ゴルフの魅力を伝えている

 2019年3月、ゴルフスクール開業に向けて道内屈指の「ゴルフ銀座」苫小牧市を初めて訪ねた。年中ラウンドができる生まれ故郷の関東地方とは違い、まだ雪がちらつき、融雪などシーズンの営業準備を進めるコースが大半。縁もゆかりもない地で不安がなかったわけではない。それでも「腹は決まっていた」。

   苫小牧市木場町のMEGAドン・キホーテ3階にある屋内ゴルフスクール「駅ごる苫小牧」の代表を務める。19年秋にオープンし、コロナ禍の苦境を乗り越えながら今年開業3年を迎えた。

   ゴルフクラブを握ったのは3歳のときだった。父が不要になったクラブを改造し、練習場でボールを打たせてくれた。「練習帰りにファストフード店で朝ご飯を食べることが楽しみなだけだった」と、はにかむ表情で当時を思い返す。

   ゴルフ漫画に感化され「プロになりたい」と思い立ち、横浜市の高校卒業後、岐阜県内のゴルフ場で働きながらプロを目指す研修生になった。キャディーや来場者のコース進行を管理するマスター室業務など、多忙な日々の合間を縫って腕を磨いた。

   月1回ほど行われる研修会では、他の研修生とプロテスト出場権を懸けてスコアを競った。夢は惜しくもかなえられなかったが、「競技を通じてたくさんの仲間やつながりができた」と振り返る。

   研修生時代に知り合いのレッスンプロの誘いで、愛好者に指導する機会があった。「いいショットが打てた」「すごいスコアが出たよ」と吉報を受け取るたび、やりがいを感じた。

   ゴルフ界から離れた時期もあったが、「レッスン業に携わりたい」と全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)の人材育成などに関わるプロフェッショナル資格を取得。東京都内でレッスン歴を重ねて17年に独立し、横浜市で屋内ゴルフスクール「センター南スタジオ」を開業。多い時期で120人もの生徒を抱えた。

   2店舗目となった駅ごる苫小牧も現在70人ほどが在籍。簡単そうで奥が深いスポーツは「どれだけ理解して取り組めるかが上達のカギ。生徒さんの理解度は十人十色。上から目線や詰め込みではなく、一人ひとりの理解度に合わせた指導を心掛けている」と言う。

   関東では車で片道1、2時間が当たり前のゴルフ場が、数十分の所に点在する。そうした苫小牧の街に魅力を感じている。ラウンドの様子は動画投稿サイト・ユーチューブの「駅ごるチャンネル」で配信し、全国の愛好者にゴルフと街をアピールしている。

   ラウンド料や用具代が高く敬遠されがちだったゴルフは、時代の流れと共に身近な存在になってきた。それでも大村さんは「長く業界を支えた人たちが高齢化し、若年層も取り込み切れていない。ゴルフは誰でも楽しめるスポーツと思ってもらえるよう、教室を通じて少しでも裾野を広げたい」と意気込んだ。

  (北畠授)

  (終わり)

   大村 和彦(おおむら・かずひこ) 1974(昭和49)年3月、川崎市生まれ。父親の影響で3歳からゴルフに触れ、一時はプロを目指した。指導の魅力を知り30代でJGRA(全日本ゴルフ練習場連盟)プロフェッショナル資格取得。2019年に苫小牧市内でゴルフスクール「駅ごる苫小牧」を開業し、競技の楽しさを伝えている。苫小牧市表町在住。

こんな記事も読まれています