新年度に入りましたが、引き続き執筆することとなりました。2カ月に1度を楽しみに待っていただけると幸いです。
すっかり雪が解け、久しぶりの土の匂い。木々の芽が少しずつ膨らむなど、さまざまな事象から春を感じることができますね。
野鳥には、一年中観察することのできる留鳥と呼ばれる種の他に、繁殖などを行うための移動の際に一時的に観察しやすくなる渡り鳥という種もあるのです。今回は、春にこの胆振・日高で観察しやすい渡り鳥を紹介します。
苫小牧や日高は海に面している地域がほとんどということもあり、海から渡ってきた野鳥たちが休息していることが多く、比較的観察機会に恵まれている気がするので、この春はぜひ。渡り鳥と言っても大きな野鳥から小鳥まであるのですが、今回は「ルリビタキ」という野鳥です。
メスはオリーブのような色合いでシックなのですが、オスは派手。青色のインパクトが強いのが特徴的です。海の近くにある公園などで、桜などの紅葉樹ややぶがあれば観察はよりしやすいです。
というのも、そういう環境には虫が多くいるから。海を越えて疲れている渡り鳥たちは、おなかがすいているので採餌(さいじ)に必死ということもあり、餌場となるような環境で多く観察されます。タイミングが良ければ、餌を捕らえる姿も観察できるかもしれませんね。とは言っても、命を懸けて海を渡ってきた野鳥たちです。負担がかからないように優しい気持ちを持って観察していきましょう。
観察に適している季節が、4月中旬ごろから5月初旬ごろ。そのような期間で栄養をしっかりと吸収した後は、北海道の山間部にある針葉樹林帯などの繁殖地へと移動していきます。
今年も変わらぬ自然の命の営みを観察させてもらいたいと思います。
(日本野鳥の会苫小牧支部・小林誠副支部長)