衆院選の道9区(胆振・日高管内)で火花を散らす共産党新人の立野広志氏(67)、自民党新人の松下英樹氏(34)、立憲民主党前職の山岡達丸氏(45)=届け出順=。衆院選期間中で唯一の「選挙サンデー」となった20日、主に大票田の苫小牧で舌戦を繰り広げた。同日の様子を中心に3候補を追った(掲載は届け出順)。
「朝寒い中、わざわざ集まっていただきありがとうございます。自民党政治を変え、暮らしを守ることができるかどうか。大事な選挙だと実感しています」―。20日午前9時すぎ、苫小牧市しらかば町の公園前。早朝から集まった支持者約10人に立野氏は丁寧な口調で語り掛けた。
立野氏を乗せた街宣車はこの日、午前8時ちょうどに遊説を開始。市内西部の住宅街を路地裏までくまなく走り、最低賃金の引き上げや裏金事件の自民党政治を変える思いを伝えた。約30分ごとに公園や商業施設前で止まり、街頭演説で政策を詳しく訴えた。
立野氏は有権者一人一人に駆け寄り、固く握手を交わして「予想以上に反応が良い」。選挙戦序盤からつかむ手応えに「やっぱり今の政治を変えてほしいという思い、皆共通しているんですよ」と、連日の演説で枯らした声で強調する。
立野氏は昨年7月に出馬を表明。「9区は自民党政治のゆがみが端的に表れている。地域の住民の暮らしを守るには、国政を変えるしかない」と立候補を決めた。壮瞥町出身で旧虻田町と現洞爺湖町の町議を9期36年務めた。政治経験は3候補では最長だ。虻田町議時代の2000年には有珠山の噴火を経験。町外に移った避難所を毎日訪れ、生活環境の改善を国に求めるなど復興支援に尽力した。
共産党は21年10月の前回選挙では、立憲民主党との「共闘」で候補者を取り下げた。今回は比例代表道ブロックの議席確保を最大目標に、党の支持固めに加えて無党派層の取り込みも図る。東胆振での知名度不足は否めないため、選対関係者は「有権者が一番重視している経済政策などを手短かつ明確に訴える。演説も長くて1カ所約15分にして、どんどん数を増やしていく」と今後の戦略を描く。
主な公約
▽憲法を生かし、戦争を防ぐ外交を推進
▽物価高騰対策や景気回復策として、消費減税とインボイス中止
▽鉄道廃止やバスの減便を止め、国の責任で「交通権」を確保
▽保険証廃止とマイナンバーカード一本化をストップ
▽価格、所得補償で農家支援