生きる 記者コラム 風
- 2024年1月10日
8日にNHK総合で黒澤明監督の名作「生きる」が放送されていた。1952年公開の映画を「なぜ、この時期に」と気になりながら録画し、久しぶりに見た。改めて、見事なストーリー展開に感嘆し、深いメッセージ性が心に響いた。 市役所の市民課長が主人公。30年間無欠勤でまじめな男ながら、事なかれ主義的に
8日にNHK総合で黒澤明監督の名作「生きる」が放送されていた。1952年公開の映画を「なぜ、この時期に」と気になりながら録画し、久しぶりに見た。改めて、見事なストーリー展開に感嘆し、深いメッセージ性が心に響いた。 市役所の市民課長が主人公。30年間無欠勤でまじめな男ながら、事なかれ主義的に
ありがたいことに日本全国に掛け替えのない「縁」がある。人と人との結びつきを強く感じる季節だ。 毎年秋に親族と青森県へ墓参する。その際に少々フライング気味の「お歳暮」リンゴを贈るのが慣例だ。 「元気にしとったかい」と声を弾ませるのは奈良に住む祖母のいとこ。京都の大学在学中は何度もお世
先日取材した防災訓練で、消防団員が「火災の時は119番、もしくは公衆電話の緊急通報ボタン」と呼び掛けた時、「公衆電話、いつから使ってないんだろ?」と思った。 記者は20代。携帯を持たされたのが中学からで、小学生までは公衆電話を利用していた。なけなしの10円で母親に用件が伝えられるよう早口で
「インフルエンザだったわ」―。 今月中旬のある土曜日の話。家族から一報を受けた。「同じ場所にいたら(周りにも)うつるよな」と思った時にはすでに遅く、翌日に1人、さらに翌日また1人と感染が広がり、うつらなかったのは生活をほとんど共にしていない私だけだった。急きょ休暇願を出して病院への送迎と家
「ビッグフライ、オータニサーン」。何度その実況を聞いただろう。今年も大活躍だった米メジャーリーガー大谷翔平選手が、アメリカンリーグで2度目のMVP(最優秀選手)を受賞した。 今年も「初」づくしの一年だった。アジア人「初」の本塁打王。「初」の2年連続2桁勝利2桁ホームラン。そして今シーズンの
気温がグッと下がり冬の訪れを感じる。冬季スポーツもシーズンに入り、各競技で活気を見せている。 苫小牧市ハイランドスポーツセンターでは13日から、屋外リンクの散水が始まった。水まきを繰り返し分厚く頑丈な氷を作り上げるため、関係者らの懸命な作業が続いている。 昔は小中高の各学校に学校リ
プロ野球阪神タイガースの日本一とファンの盛り上がりを取材するため5日夜、苫小牧市内の居酒屋「鳥しん」へ行った。到着したのは試合開始10分前だったが、同店を拠点に阪神を応援する「苫小牧若虎会」の会員20人ですでに満席。「本日貸し切り」の貼り紙が出された。 メガホンの音と応援歌で球場にいるかの
「苫小牧留学(トマリ)に一歩近づいた」。10月25日に行われた北洋大学と同大の日本語教育機関「外国人留学生別科」による合同入学式で奥村訓代学長が発した言葉だ。 トマリは、海外に行かずとも苫小牧で海外の学生と交流できることを意味する造語。同大には中国や韓国、台湾、ベトナムの留学生80人ほどが
晩秋から冬に向かう季節、気温はぐっと下がり、朝は布団から出るのがおっくうになってきた。押し入れからストーブを引っ張り出すも、灯油価格の高さに使用をためらってしまう。 苫小牧市の価格動向調査によると、10月の灯油平均価格(1リットル、ホームタンク用配達料込み)は124円。昨年同月は119円、
苫小牧市が9月20日から今月15日まで行った自動運転バス実証事業の取材を続けてきた。12日には初めてJR苫小牧駅前から海の駅ぷらっとみなと市場までバスに乗り込み、利用者の声を聞いた。 往路と復路に乗車したが、バスはスムーズな動きで走行した。行程の8割は自動運転で、交差点などは人が動かす。時
先日、小学3年生の娘から「理想のお母さんってどんな人?」と聞かれた。なぜ、そんなことを聞くのだろう。動揺しつつも、思い付くままに言ってみた。 優しくて。しっかり話を聞いてくれて。いつもにこにこしていて。髪の毛もメイクもきれいで。包容力があって。働き者で―。 話すうちに悲しくなってき
白老町内では各地で9日まで、芸術祭「ルーツ&アーツしらおい2023」が開かれている。今年は、昨年まで同祭の関連企画だった屋外写真展や旧竹浦小校庭を使った照明イベントが町民の手によって継承されていくのを目の当たりにした。 まちの歩みの中から生まれた文化を町民が支えていく。そんな動きが広がって
19日に札幌市で開催された第75回全国理容競技大会で、苫小牧市内の理容師渡利勇太さん(36)に第1部門での優勝が告げられた時の動画を見た。本人だけでなく、周りの仲間や後輩の目からも涙があふれ出た。特別な思いの詰まった瞬間に立ち会えた気がした。 道理容生活衛生同業組合苫小牧支部長の青野秀博さ
1行10文字の41行、計410字で表現することが本コラムのルール。長そうに見えてテーマが決まればあっという間に書き上がる。 日々執筆する「一般記事」とは違い、記者自身が感じたことや思いを率直に表現することができる場所。小生はコラムが好きだ。 デビューは当欄ができる前の2014年10
「手当ては、手で触ることが大事」―。厚真町内で行われている体操教室での一コマ。講師を務める高橋康夫さんが参加者にそう語り掛けた。 「手当て」と聞くと、ケガや病気などを処置する医療行為が浮かぶ人が多いと思う。しかし、実は自分自身に手を当てることで気持ちを落ち着かせたり、周囲の人に手を当てたり
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に引き下がり、苫小牧市民会館に音楽ライブが戻ってきた。当日には、公演するアイドルやロックバンドの関連商品を身に着けたファンの姿を会場周辺で見掛ける。 コロナ禍以前、ライブが目的の来苫者たちに、市内観光や地元店で飲食をするか聞いたことがある。多く
23日は厳しい暑さの峠を越す処暑。朝、夕には涼しい風が吹き、虫の声も聞こえてくる頃とされるが、今年の苫小牧はまだ暑い。今夏は、コロナ禍で人の姿がまばらになった市内でもさまざまな催事が再開され、各地に「4年ぶり」の活気が戻った。 7月の樽前山神社例大祭では、市内中心街を練り歩く「あばれ獅子」
太平洋戦争の終結から78年が経過した15日、各地で平和記念式典が行われ、平和への決意を新たにした。 記者になって約1年半、苫小牧に残る戦争遺構「トーチカ」や原爆投下前日の様子を描いた小説の朗読劇など、戦争に関する取材に携わってきた。 4日には市住吉町のコミュニティーサロン「ハマ遊の
「(おかずを指さし)それ何だった?」「これ、おいしいよ」。楽しそうに会話する児童生徒たち。昨年は見られなかった食事風景に、ひと安心すると同時にうれしく感じた。 7月末、苫小牧市こども研修事業に同行し、東京都八王子市を訪れた。昨年に続き2回目の同行取材だったが、3泊4日の食事場面は大きく違っ
仕事終わりの夜、近所のスーパーによく立ち寄る。そして、ふと気付く。以前は空っぽだった卵コーナーの棚に、数は少ないが卵が置かれていることに。少しずつ卵が戻ってきていると思うとうれしくなる。 主要産地の千歳市の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生した影響で価格が高騰し、品薄状態が続いている卵
24日、苫小牧市まちなか交流センター・ココトマで開かれたパブリックミーティングの取材を行った。中心市街地活性化や市が2021年3月に策定した都市再生コンセプトプランに盛り込まれたウオーカブル(歩きたくなるまち)について、出席者からさまざまな意見が出された。 長年苫小牧を見てきた出席者は「昔
先月、一人暮らしをする母が自宅で転倒し、足を骨折して入院することとなった。入院するまで数日の猶予があったため、母は自分で必要なものを準備したが、いざ病院で生活が始まると足りないものが出てきた。 「用意したサンダルでは転ぶかもしれないので、運動靴が欲しい」「背もたれになるような大きめのクッシ
34年前の1989年9月22~25日、白老町のポロトコタンなどで「北方民族国際フェスティバル」が開かれた。当時の記事によると、旧ソ連極東地区からニヴヒ、フィンランド・ラップランドのサーミ、カナダ北西海岸のヌチャヌフ、同東部のイヌイットら七つの北方少数民族から計約40人が集まり、子どもたちや町民らと
苫小牧市表町のラーメン店「麺こころ」の店内にユニークな写真が飾られている。富士山を覆う雲が巨大なネズミのように見える1枚や、冬の山中湖で2羽のハクチョウがくちばしを寄せ合う姿がハート形になった一瞬を捉えたものもある。 いずれも、愛知県で写真館を営む野田繁憲さん(75)が撮った作品だ。8年ほ
井の中の蛙、大海を知らず―。中国の故事に由来する「見識が狭く、自分の範囲内でしか物事を判断できない」意味。世間知らずということだ。 5月、約10年半勤めたスポーツ部から異動した。新たな活動の場は政治、経済分野。言わずもがな、井の中の蛙状態にある。 東胆振のスポーツは魅力にあふれてい
今月11日、日曜の夕食時のことだった。自宅の中で大きな揺れを感じ、ほどなくして携帯電話から緊急地震速報の警報アラームが鳴った。浦河沖を震源地とする大きな地震が起き、東胆振では厚真町で最も大きい震度5弱を観測した。 幸いけが人や建物の倒壊など目立った被害はなく、胸をなでおろしたが、久しぶりに
入社して半年と少し。ようやく手元に自転車が届いた。大学生の時に少し奮発して購入した、約6万円(だったと思う)の青のクロスバイク。長らく後輩に貸しっ放しで、ようやく返してもらえた。 せっかくの北海道での勤務だ。夏場に、涼しげな海沿いを疾走するのは最高のひとときだろう。まずは白老町まで行こうか
スポーツ部に配属されてはや1年がたった。子どもから大人まで、懸命に汗を流す姿にいつも胸を打たれる。勝利にこぼれる満面の笑みや、プレーに納得がいかず涙をのむ姿―。選手たちが輝くその瞬間を、少しでも紙面上で形に残すべく努めている。 十勝管内芽室町出身の記者は小学3年から6年間、紅一点で軟式野球
人工知能(AI)の進歩を実感する日々を過ごしている。先日、連載記事のタイトルを考える際、取材先の企業が催事を周知するキャッチコピーにAIが出した案をヒントしたという話を思い出し、挑戦してみた。 AIはわずか数秒待つ間に複数案を出すだけでなく、「もっと短く」など、こちらの要望に合わせ、アイデ
先月から市表町のパーソナルジムでトレーニングと食事指導を受け、ダイエットに取り組んでいる。 きっかけは4月に受けた定期検診での身体測定。体重計が表示した数字にがく然とした。標準体重より約15キロオーバー。取材先からも「丸くなったね」と言われ、ショックを受けた。 ジムに通い始めてから