雪の妖精と早春の使者 見頃迎える野鳥たち
- 2025年3月7日
この季節のウトナイ湖には、エナガの亜種シマエナガ(以下、シマエナガ)を目的に訪れる方が多くいらっしゃいます。この鳥は一年中ウトナイ湖に生息していますが、私たちは冬を観察に適した時期としてご紹介しています。理由としては、木々の葉が落ちて見つけやすくなること、群れで行動すること、そして寒さを防ぐため羽毛
この季節のウトナイ湖には、エナガの亜種シマエナガ(以下、シマエナガ)を目的に訪れる方が多くいらっしゃいます。この鳥は一年中ウトナイ湖に生息していますが、私たちは冬を観察に適した時期としてご紹介しています。理由としては、木々の葉が落ちて見つけやすくなること、群れで行動すること、そして寒さを防ぐため羽毛
葉をすっかり落としたウトナイ湖の森を、身を切るような冷たい風が吹き抜けます。長時間屋外にいるのはつらいですが、落葉で見通しが利くようになったおかげで、森にすむ野鳥を見つけやすい季節です。ハシブトガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラなどたくさんの野鳥が寒風に耐えながら生きている様子を観察できます。
だんだん日が短くなり、冷たい風を感じる季節となりました。ウトナイ湖では9月上旬から、ガン・カモ・ハクチョウ類といった渡り鳥が続々と到着し、湖面にぎわいをもたらしてくれています。夜や早朝に編隊を組み、互いに鳴き交わしながら飛んでいく姿を見掛けた方もいらっしゃるかもしれません。観察のしやすい大型の水鳥
ウトナイ湖はもうすぐ水鳥の秋の渡りシーズンを迎えます。夏の間静かだった湖に、数千羽のガン類やカモ類、ハクチョウ類が訪れ、彼らのにぎやかな声が聞こえるようになります。 昨シーズンはヒシクイが9月7日、マガンが同21日に観察されました。コハクチョウは10月7日、オオハクチョウは同14日に渡りで
「水鶏」という鳥をご存じでしょうか。みずにわとり? これは「クイナ」と言います。クイナは、ハトくらいの大きさの鳥で、くちばしが長く赤いのが特徴です。水辺に生息し、昆虫や魚、草の種などを食べます。北海道には夏鳥として渡来し、冬は本州中部以南で過ごします。 クイナは、普段から湿地の草むらにいる
アオジという鳥をご存じでしょうか。黄色と黄緑色が鮮やかなスズメより少し大きい鳥で、ホオジロ科ホオジロ属に分類されています。関東以西の雪のない場所で越冬して、北海道へは春にやってきます。雄の多くは目の周りが黒くなっています。この黒がサングラスを掛けているように見えることから、私は「サングラスを掛けた
冬のウトナイ湖では、厳しい冷え込みの中でも、餌を探して動き回り、懸命に生きる野鳥の姿を観察できます。ウトナイ湖周辺でよく見られる樹木のハンノキ類には、その種子を採餌(さいじ)するためにさまざまな野鳥がやってきます。その中でも、よく見られるのは、鮮やかな黄色の羽毛が特徴のマヒワです。マヒワは道内の高
明けましておめでとうございます。皆さまは初夢を見られましたか。初夢に見ると縁起が良いものとして「一富士、二鷹(たか)、三茄子(なすび)」ということわざがあります。正月ということで、この縁起の良い「鷹」について取り上げてみます。 皆さまは「タカ」と「ワシ」の違いをご存じでしょうか。実は生物の
日に日に日没の時間が早くなり、冬を思わせるような寒さを感じられるようになりました。ウトナイ湖では、9月中旬ごろからガン類やカモ類、ハクチョウ類といった渡り鳥が続々と到着し、湖面ににぎわいをもたらしてくれています。今の時期、夜や早朝に編隊を組み、互いに鳴き交わしながら飛んでいくガン類やハクチョウ類の
ウトナイ湖は間もなく水鳥の秋の渡りのシーズンを迎え、数千羽の群れが湖上を埋める光景が見られるようになります。ウトナイ湖を訪れる水鳥は、ガン類、カモ類、ハクチョウ類など、これまでに42種が記録されています。その中でもガン類が毎年数多く確認されており、昨シーズンの秋の渡りの時期には、ヒシクイが9月14
ウトナイ湖周辺では、湿原の女王と呼ばれるホザキシモツケのピンク色の花が見られるようになり、夏を感じる季節がやって来ました。初春から今の時期にかけて、多くの鳥たちは1年で一番大きなイベントである子育てに大忙しです。 冬の終わりごろにネイチャーセンター横の樹木に取り付けた巣箱には、シジュウカラ
ウトナイ湖周辺では、ナニワズの黄色い花やバッコヤナギのモフモフした花が見られ、春の訪れを感じる季節となっています。と、ここまで書きましたが、私は4月よりウトナイ湖サンクチュアリに配属になりました新人レンジャーです。冒頭のナニワズやバッコヤナギのことは、つい先日、先輩レンジャーから教わりました。3月
3月のある日の午前5時ごろ、暗い時間からウトナイ湖の水面は数万羽のガン類でにぎわいます。その幾万の鳴き声が響く観察路を、レンジャーと調査ボランティアの方とで歩いていきます。目指すは湖を見渡せるイソシギのテラス。そこでカウント調査をするためです。 湖に近づくと、足元を照らすライトの光が湖を照
ウトナイ湖は、通年見られるオジロワシに加え、オオワシが渡ってくる時期になり、ワシの仲間が見やすい時期を迎えようとしています。 翼を広げた幅はオジロワシが約200センチ、オオワシが約220センチあり、翼を広げて青空をゆっくりと旋回する光景は絵になります。両種とも環境省に絶滅危惧2類に指定され
ウトナイ湖はもうすぐ水鳥たちの秋の渡りシーズンを迎えます。おおよそ9月から12月までの期間、水鳥たちで湖の水面がにぎわい、多い時には数千羽の群れを一度に観察できます。このようににぎわう理由は、水鳥たちが冬越しのために北から南へ移動する途中で、ウトナイ湖を利用するからです。 湖を利用する水鳥
ウトナイ湖で、「ホザキシモツケ」の花がもうすぐ見頃を迎えます。花を見られる時期は7月末ごろまでです。泡のようなピンク色の小さな花が、枝先に穂のような形で集まって咲くのが特徴です。バラの仲間で、一つの花をよく見るとサクラやモモのような、5枚の花びらを持つ形をしています。湿地から森林の間の湿った環境に
暖かな陽気で眠くなる新緑の季節となりました。春はウトナイ湖の野鳥たちが子育てを始める季節でもあります。そんなウトナイ湖の観察路に鮮やかな紅色の姿で現れるのが「ベニマシコ」です。観察路でよく見られる場所は、胸ほどの高さの低い木が密生する、林とヨシ原の中間の環境です。「ピッポ、ピッポ」という鳴き声が特
シマエナガブームの陰で、カラスに関する書籍の出版や博物館で企画展が催されるなど、ひそかにカラスも人気があります。 苫小牧市内には、主にハシボソガラスとハシブトガラス(以下ボソ、ブト)が生息しています。ハシとはくちばしのことで、両種ではその幅に違いがあることが知られていますが、実際野外で見る
明けましておめでとうございます。ただいま私は、雪も氷もほとんど縁のない帰省先でこの通信を書いています。そのため、現在のウトナイ湖の様子を詳しくお伝えできないのですが、気象データを遠方から見て予想するに、おそらく全面は結氷したままのはず。「道の駅」前の勇払川流入部は凍っておらず、オオハクチョウやマガ
英名「Blakiston’s fish owl」(ブラキストン博士の見つけた魚を食べるフクロウ)が示す通り、北海道を代表する鳥でもあるシマフクロウの主食は、川や湖などにすむ魚です。生息地域で捕らえやすいオショロコマやヤマメ、ハナカジカなど、全長20センチ程度の丸のみできるサイズを好んで
皆さんは、春から初夏にかけて「ズビャーク、ズビャーク……ゴゴゴゴゴ」といった音を聞いたことはありますか? その音の正体は、環境省のレッドリストで準絶滅危惧の野鳥、オオジシギのオスが求愛や縄張りの主張で出す声と羽音です。 主な繁殖地の北海道と越冬地のオース
ウトナイ湖サンクチュアリは、日本野鳥の会が1981年に野鳥の生息地保全のため開設し、今年で40年がたちました。周年事業の一環として、ネイチャーセンターでは、これまで取り組んできた自然保護の活動を紹介するパネルを特別展示しています。そこで今回は、約40年の野鳥観察記録をもとに、観察頻度が減った鳥と増
本格的な春を迎えつつある今、植物は芽吹き、夏鳥の初認が続くなど、ウトナイ湖周辺の様子は毎日、目まぐるしく変化しています。そんな中で、ネイチャーセンターは一昨日までの5連休に多くの来館者を迎えました。距離を保ちながらの散策途中に立ち寄った方からは、「ウグイスのさえずりを聞いたよ。姿は見られなかったけ
近ごろ暖かい日が多くなり、野鳥たちの子育ての時期になってきました。北海道内に約160羽しかいないシマフクロウも子育ての真っ最中です。 シマフクロウが自然の状態で子育てするためには、巣となる巨木の洞と、餌となる魚が必要です。研究によると、直径1メートル以上の太さの木の洞と、20センチほどの魚
皆さんは、「ガン」という水鳥をご存じですか。カモとハクチョウの間くらいの大きさで、日本には数種が渡来し、そのうちのマガンとヒシクイがウトナイ湖ではよく見られます。主な繁殖地はロシア方面。越冬地の多くは本州にあり、渡り経路の途中に位置するウトナイ湖には、春と秋に飛来します。例年2月下旬ごろ、北上して
皆さまご存じのようにバードウオッチングという言葉は英語から来ています。この言葉、日本語ではどのように訳せばよいのか。「野鳥観察」がもっとも適当な言葉でしょうか。ほかにも「鳥見」「探鳥」などという日本語もありますが、あくまで趣味として、娯楽として鳥を見に出掛ける場合は、やはりバードウオッチングという
オオワシは、翼を広げると2メートルを超す大型のワシです。くちばしが黄色く、尾が白いのでオジロワシと紛らわしいのですが、オオワシはくちばしが巨大で体全体が黒っぽいのと、成鳥は翼の一部が白いので、そこで見分けることができます。またオジロワシは1年中ウトナイ湖に生息し周辺で繁殖していますが、オオワシは1
このシッチとは湿地のこと。文字通り湿った土地を意味し、湖や沼、河川、干潟、湿原、草原など、実にさまざまなタイプがあります。近年は防災の観点からその役割が期待される一方、開発の波にさらされ、減少の一途をたどっています。漢字で書くと、何となく「じめっ」とした印象ですが、カタカナだと、シャチにも似て、私
蒸し暑かった夏が過ぎて、爽やかな風が吹く秋がやってきました。自然観察路ではチョウセンゴミシの実や、ツタの葉が赤く色づき、鮮やかです。さて、10月は、夏の間ロシアなどの繁殖地にいた多くの水鳥が、越冬地である本州に渡る途中にウトナイ湖に飛来します。すでに、ガン類やカモ類などが確認されており、ハクチョウ
近年、勇払原野でも定期的に観察されるようになってきたタンチョウですが、明治期には一時絶滅したと考えられていました。 1924(大正13)年に釧路で数十羽が再発見されて以降、保護活動によって個体が増え、生息域も道東各地に広がりました。そして現在、個体数は1800羽ほどまで回復し、道北や道央に