黒字化へ経営改善求める 市立病院事業経営評価委が報告書

黒字化へ経営改善求める 市立病院事業経営評価委が報告書
報告書を手渡す豊田委員長(左)

 苫小牧市立病院事業経営評価委員会(委員長・豊田健一苫小牧市医師会副会長)は21日、2023年度の同院医療機能や経営の効率化などを評価した報告書を市に提出した。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、同院は患者数が前年度から増えたが、コロナ禍前の水準に戻らず4年ぶりの赤字。報告書では経常収支の黒字化に向けて引き続き経営改善を求めた。

   今年2月に策定した「経営強化プラン」(23~27年度)で掲げた医療機能や質・連携強化、経営指標、収支の状況など全41項目を目標値と実績値で比べ、A~Eの5段階で評価した。

   経営指標の目標値を大幅に上回った「A」は2項目(構成比4・9%)、目標達成の「B」は25項目(61%)、おおむね達成の「C」が12項目(29・3%)だった。目標を下回る「D」も2項目(4・9%)あり、大幅な改善が必要の「E」はゼロだった。

   主な項目では、医療の質の保障や効率化を進める手段クリニカルパス使用率が、目標値30%に対して43・9%と高評価。一方、コロナ5類移行による行動制限の緩和で、訪問診療・看護件数が目標値150件に対し、86件と大幅に下回った。

   病院事業収益は、入院・外来収益がコロナ前と比べて減り、目標値を2億7300万円下回る「D」となったが、材料費など病院事業費は目標値よりも3億2800万円抑制して「A」。経常収支は、目標の5億4500万円の赤字に対し、赤字4億9000万円にとどめ、評価は「B」となった。

   この日は豊田委員長、菅原真一副委員長が市役所で山本俊介副市長に報告書を手渡した。豊田委員長は、長引く人手不足や物価高など厳しい経営環境を懸念しつつ「東胆振医療圏域の中核病院として高度・政策医療の充実に努め、計画期間内に安定的な経営基盤を確立して」と求めた。山本副市長は「これからが本当の正念場。子育て支援、子ども育成に力を入れる中で、重要な医療機関として経営努力をしていかなければ」と危機感を強めた。