前苫小牧市環境衛生部ゼロカーボン推進室主査の田村一也氏(49)は23日、市内のホテルで記者会見を開き、岩倉博文前市長の辞職に伴う市長選(12月1日告示、同8日投開票)への出馬を表明した。田村氏は22日付で市職員を退職して会見に臨み、「すべての人が参画できる、希望を持てる苫小牧をつくっていく」と抱負を述べた。
田村氏は無所属で出馬する方針だが、「私が思っている政策、ビジョンに賛同、支持いただける政党、団体の支持を受ける」と強調。近く立憲民主党苫小牧支部が推薦決定し、労働組合などが支持基盤となる見通しで、後援会長は元民主党道議の沖田龍児氏(79)が務める。
田村氏は、労働組合活動を通して政治の道を志したといい「職場をよくするため仲間の声を聞く中、どうしても解決できない問題があり、仕組みを変えるには政治の力が必要」と説明。岩倉市政に対して「真摯(しんし)に取り組まれてきたことに敬意を表する」としつつ、「長く務めてきた中でひずみも出ている。手厚く進められるところ、そうでないところが大きくなっており、変えていきたい」と力を込めた。
正式な公約は改めて示すが、政策の構想として▽学校給食の段階的無償化▽地元企業を支え、地場産業の活性化▽防災体制の拡充、社会インフラを守る―の三つを描く予定。岩倉市政が来年3月に廃止するとした、70歳以上の市民を対象にした市内路線バスの乗り放題フリーパスも、継続する姿勢で、対立軸を打ち出す構え。その上で「市民の皆さまとともに立案する市政を目指す」と訴えた。
田村氏は苫小牧市出身、国立長岡技術科学大学卒。1999年に市役所入りし、上下水道部や環境衛生部などを回り、今年4月から同主査だった。全水道苫小牧水道労働組合の執行委員長、連合苫小牧の事務局長なども務めた。
市長選は、既に出馬を表明している市議の金沢俊氏(50)=自民党、公明党各苫小牧支部推薦=と田村氏による、新人同士の一騎打ちの構図となる見通しだ。