マスクなしでも断りません 掲示物などで協力呼び掛け 苫小牧のタクシー会社

マスクなしでも断りません 掲示物などで協力呼び掛け 苫小牧のタクシー会社
マスク着用の協力を呼び掛ける間仕切りカーテン越しの広告物=苫小牧観光ハイヤー

 タクシー運転手がマスク着用に応じない客の乗車を断れるよう、国土交通省が運送約款の変更を都内事業者に認めたが、苫小牧市内のタクシー事業者は慎重な姿勢を見せている。新型コロナウイルス対策に理解を示しつつ、「『マスクをしていないと乗れない』と誤解される方が困る」など戸惑いの声も広がる。乗客とのトラブルを懸念する声も根強く、当面は従来通りの感染防止対策を徹底させる。

   国交省は都内タクシー事業者からの申請を受け、正当な理由なくマスク着用に応じない客の乗車を、運転手が拒否できるよう定めた運送約款を今月4日付で認可した。乗車の際のマスク着用を「ウィズコロナにおける新しいエチケット」として協力を求めるが「マスク未着用者の乗車を一律に断るものではない」とし、対応は事実上、事業者の判断に委ねている。

   苫小牧観光ハイヤー(有明町)は「コロナ対策として否定しないが、地域、業界全体で歩調を合わせなければ難しい」と指摘。乗客にマスクを強要したり、着用を確認したりすることが乗務員の負担増や乗客とのトラブルにつながりかねないとみる。同社は車内に仕切りカーテンを設けるなど、感染対策に力を入れてきており「まずは自分たちがやれることをやり、車内でのマスク着用の必要性などを認識してもらうことが大事」と語る。

   北海交通苫小牧支店(あけぼの町)も「マスク着用への意識が高まれば」と冷静に受け止める。「現実的には『着用していないから乗車拒否』とはできない」と強調。マスクを着けてもらえるよう呼び掛けを強化するが「(約款変更は)他社と足並みをそろえないとできない」と話す。

   金星室蘭ハイヤー苫小牧支店(新中野町)も「マスクをしていない人に、運転手からマスクを『使ってください』と渡すことはあっても、『乗らないで』とはならない」と指摘。協力を求める広告物を増やすなど、柔らかな物腰でコロナ対策を強化していく考えだ。