苫小牧沿岸を含む胆振海区の秋サケ定置網漁が記録的な不漁に陥っている。20日現在の漁獲数は63万2364匹で、前年同期に比べて1割以上減り、年間では統計史上最低だった2017年度をも下回るペース。全道的な不漁続きで品薄となり、漁獲高については約3割増しの約16億5198万円と好調だ。
胆振海区漁業調整委員会がまとめた苫小牧、鵡川、いぶり中央、室蘭、いぶり噴火湾の5漁協の統計。9月1日の解禁から11月20日までの累計で、漁獲数は前年同期比13・36%減った。統計がある01年度以降、年間実績で最低だった17年度同期と比べても、12・88%下回っている。
9月の不漁が大きく響いた。10月は上旬から中旬にかけて一時的に回復したが、挽回までには至らなかった。10月下旬に再び前年実績を下回り、最盛期を終えた11月も前年並みもしくは前年以下の水揚げの日が多い。漁は12月上~中旬までだが、17年を下回るのは必至だ。
一方、漁獲高は同27・60%増。全道的な不漁の長期化で品薄感が強く、苫小牧をはじめ高値の取引が続いている。
苫小牧漁協は「今年は出だしから駄目だった。全道的な不漁、品薄もあってか高値で助かったが資源が安定化してくれないと」と嘆く。苫小牧沿岸では12月3日まで操業を予定するが「この20年で最低になりそう」と話す。
さけます・内水面水産試験場(恵庭市)は「日本系サケ資源の減少が続いている」と指摘。理由の一つに海水温の上昇を挙げる。苫小牧漁協などはふ化事業で春に稚魚を放流しているが、近年は周辺海域で海水温の上昇が早く、稚魚が準備不十分のまま外遊して生存率を下げているとみられ、「気候変動でサケの生息に適さなくなりつつあるのかもしれない」と危惧する。