JR北海道は2日、2020年4~9月期の線区別収支を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売上高に当たる営業収益が大幅に減少し、営業損失は合計で383億3000万円となり、前年同期に比べ赤字幅を164億9800万円拡大。線区別でも主力の札幌圏(4線区)を含め全線区で赤字となり、厳しい経営実態に拍車が掛かっている。
JR北の渡利千春常務と木元剛財務部長が記者会見し、説明した。
今年4~9月期の全線区の営業収益は195億4300万円にとどまり、前年同期と比べ208億9100万円(51・6%)減少した。一方、列車の減便・減車や橋梁(きょうりょう)の修繕の減少などで営業費用は578億7300万円と、前年同期比43億9300万円(7・1%)減少したものの、営業損失の赤字幅を拡大させた。
線区別では、稼ぎ頭で前年同期は4億6100万円の黒字だった札幌圏(千歳・室蘭線白石―苫小牧、函館線小樽―札幌など4線区)もコロナ禍が直撃。外国人観光客が激減したほか、通勤通学客の利用減などで一転して84億1700万円の赤字となった。
北海道新幹線(新青森―新函館北斗)も営業収益は前年同期の約3分の1の18億9400万円にとどまり、赤字額は61億9500万円と倍増した。
JRが「単独では維持困難」として国や自治体に資金支援を求めている8線区(室蘭線沼ノ端―岩見沢、日高線苫小牧―鵡川など)は計62億100万円の赤字で、前年同期から9300万円悪化した。
この他、室蘭線室蘭―苫小牧は、前年同期から3億9800万円悪化し、16億9300万円の赤字となった。
JR北の渡利常務は今後の見通しについて「道内で感染が急拡大しており、10月以降も鉄道利用の回復が非常に遅い。この先の予測は難しいが、非常に厳しいと思っている」との認識を示した。