苫小牧漁業協同組合(伊藤信孝組合長)の今季の秋サケ定置網漁は、漁獲量が直近10年間で最低の485トンにとどまった。不漁とされた前年を約2割下回る、記録的な不漁。一方で複数年にまたがる不漁が品薄感を招いており、1キロ当たりの平均単価はこの10年で2番目に高い816円(税抜き)、漁獲高も前年比2割弱増の約3億9600万円(同)となった。
苫小牧漁協の速報値。今季も定置網5カ統で、9月4日~11月30日に操業した。漁獲量は2013~15年、年間1000トンを超えていたが、16年以降は5年連続で不漁。同漁協の担当者は「これまでは不漁の年が2、3年あっても、その後に回復した。5年も不漁が続くのは記憶にない」と話す。
今季は水揚げ初日こそ約3・9トンと、前年初日の約200キロを大きく上回ったが、9月は前年同月比ほぼ半減の98トン。10月上旬は1日60トン近く水揚げした日もあったが、本格的な回復までには至らなかった。11月はほぼ前年並みだったが終盤は不振で、漁期の12月3日を待たずに漁を終えた。
一方、平均単価は前年比で257円も上がり、全道で記録的な不漁だった17年の977円に次ぐ高値。秋の味覚の代表格サンマも著しい不漁で、サケの需要が高まったことに加え、不漁の長期化による品薄感が価格を押し上げた。漁獲量は前年比で100トン以上下回ったが、金額は約6000万円増えた。
前年は3年魚とみられる小さなサケが多かったが、今年は4年魚以降の大きな魚体が目立ったという。同漁協は「今年は金額で救われた面もあるが、苫小牧は9、10月が最盛期でこの時期に取れないと駄目」と指摘。「来年以降は資源が回復してほしい」と願っていた。