苫小牧市は、2025年度から5年間の人口減少対策に関する施策や将来展望を示す「第3期人口ビジョン・総合戦略」の素案をまとめた。デジタル技術を活用した社会課題の解決や魅力向上を基に、「仕事をつくり、安定した雇用環境を整備する」をはじめとする四つの基本目標と、大きく分けて12施策を掲げた。
総合戦略では、「健康で安全な都市環境のもと、世代や性別に関わらず、豊かで明るく誰もが住みやすい『とまこまい』」をまちの目指す姿とし、基本目標の他、▽SDGs(持続可能な開発目標)の視点▽多様性に富んだ社会▽安全・安心な地域づくりによる地方創生の推進―を盛り込んだ。
目標実現のための施策では、今年度で終了となる第2期総合戦略からの継続案件に、新たに検討する取り組みと中長期的な視点が必要となる事業を加えた。主な施策として「交流人口の拡大支援」「災害時等に備えた安全安心なまちづくりの強化」「創業・事業承継支援」「子育ての不安感を緩和し、健やかな育ちの支援」などを挙げた。
市は総合戦略推進委員から寄せられた意見と、12月から行う市民への意見公募(パブリックコメント)を踏まえ、来年1月の総合戦略推進会議で原案を提出。同2月の市議会定例会での議論も経て、同4月の公表を予定している。市総合政策部の町田雅人部長は「(委員からは)苫小牧を選んでもらえる施策、苫小牧ならではの施策との声が多かった」とし、「新しい市長の考え方も盛り込みながら、策定を進めていきたい」と話している。
第3期総合戦略の四つの基本目標と主な施策
(1)仕事をつくり、安定した雇用環境
▽進出・立地企業へのサポート機能の強化
・戦略的企業誘致活動
・立地企業の人材確保や雇用環境改善支援
▽創業・事業承継支援
・創業支援によるスタートアップ企業の創出
・ベンチャー企業の創出
▽若者の地元就職の促進
・地元学生の市内就職促進
・UIJターン希望者の合同説明会
・マッチング支援
(2)結婚の希望を叶え、安心して出産・子育てができる環境
▽結婚の希望を叶える支援
・出会いのきっかけづくりやマッチングアプリ
▽子育ての不安感を緩和し、健やかな育ちの支援
・母子保健や育児の相談体制構築など
・副食費・給食費助成
▽仕事と子育ての両立支援
・保育サービス等の充実
・出産や育児理由の離職女性への就職支援
(3)本市と関わる機会を創出し、新たな人の流れをつくる
▽交流人口の拡大支援
・来訪型イベント
・本市の魅力資源を活かした取り組み
▽関係人口の創出
・市外在住者へのシティプロモーション
▽移住促進
・移住希望者への効果的な情報発信と相談支援
・移住者支援
(4)地元の魅力を高め、住みやすい環境を整備
▽地元の特徴を生かしたさらなる魅力の向上
・本市の特産品PR
・港湾産業都市としての環境整備
・スポーツ振興
▽災害時等に備えた安全安心なまちづくりの強化
・大規模自然災害発生の備えの強化
▽充実した都市機能の整備
・中心市街地のまちづくり
・ICT活用による公共交通ネットワーク形成など