国土交通省の上原淳鉄道局長が8日来道し、7日にまとまった「北海道新幹線の整備に関する有識者会議」の報告書の内容を鈴木直道知事、秋元克広札幌市長、JR北海道の綿貫泰之社長らに説明した。上原局長は資材価格の上昇や軟弱地盤の補強などで事業費が着工当初から6450億円増加する見通しや、一部工事で3~4年の遅れを示しながら「事業費負担の在り方については今後、関係者の皆さまと調整を行いたい」と語った。
鈴木知事は「当初比4割の増加見通しは大変厳しい結果。道として地方負担の軽減を強くお願いする」と述べ「沿線自治体は2030年度末の開業を見据えたまちづくりを進めている」と同年度末開業の実現を求めた。
民間の投資によるまちづくりを進める札幌市の秋元市長は「思いは知事と同じ。30年度末の開業に向けコスト削減を進め、地元負担の縮減策を」と要望。北海道新幹線開業で経営自立を目指す綿貫社長も「本道の経済活性化、当社の経営改善にも大きな影響が出る」と一日も早い開業を求めた。
北海道新幹線新函館北斗―札幌間(約212キロ)の総事業費は12年6月の着工時に1兆6700億円と見込まれ、JR北海道が支払う貸付金を除く事業費の負担割合は国が3分の2、道と札幌市など2市3町の地方は3分の1としていた。
上原局長は「可能な限り早期に開業したい」と述べ、鉄道・運輸機構の河内隆理事長は北斗市から札幌市までの工事の8割がトンネル区間で現時点での試掘率は約6割と説明し、「新幹線開業には道民が大きな期待を寄せている。2方向同時掘削などで遅延回復に取り組みたい」と語った。
鈴木知事は地方負担の軽減と30年度末までの完成・開業の実現を求める「緊急要望書」を上原鉄道局長に提出した。